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これまでの“tuned by STI”シリーズではクルマに応じて複数のネーミングが与えられていたため、ユーザーに対して判りにくい側面があった。そのためこれを機にシャーシ&サスペンションチューンによるハンドリングを主体に磨きをかけたモデルを“tS”の呼称で統一。
今回の2・5GT tSはその第一弾だ。なお、エンジンまで含むSTIチューニングのモデル、Sシリーズ/Rシリーズは、いわばSシリーズグループとして継続する。つま今後は、SシリーズとtSシリーズという2シリーズ体制ということになる。
さて、本題のツーリングワゴン2・5GT tSは、STIのクルマ造りのコンセプト「Sport,Always!」~すべての時、すべての道、クルマとの対話はいつも“スポーツ”だ!~を踏まえた上で「強靱でしなやかな走り」を目指した。
意味するところとしては、ドライバーにとって運転が上手くなった感覚をもたらしてくれたり、サーキットやワインディングなどではなく、日常シーンの中でもクルマとの対話、意思疎通を図れる快感、喜び。そんなパフォーマンスを指す。
そのために4輪の接地性の向上。ステアリング応答性の向上。挙動に対する応答性の遅れの排除。気持ち良く安心して曲がるために絶対にリアがでない、出る雰囲気すら感じさせない足。STI“なのに”ではなく、STI“だから”の静粛性と乗り心地の実現などを徹底的に追求したチューニングが施されている。
具体的なチューニングパーツ、アイテム等は別掲のリストを参照していただくとして、ともあれ新しい“tS”のエンブレムをフロント/リアともに携えた試乗車に乗り込んでみた。
ベースとなっている2・5GT Sパッケージも非常に出来の良いスポーツ&コンフォータブルなモデル。その上でSTIなのだからの先入観、期待感を持って走り出してみると、まず良い意味で拍子抜けするほど乗り心地が良く、キャビンは静かで快適だ。
路面を選ばずハーシュネスがここまで抑えられているとはまったくの予想外。こうした乗り心地の良さからだけで言えば、このクルマはとても質の良いコンフォートなGTワゴンだ。
ところが、これだけで終わらないのがSTIチューンたるところか。とりわけステアリング操舵に対する応答性の高さは際立つものがあり、たとえばレーンチェンジなどではステアリングを切るというよりも行きたい方向に対して手を添える(当てる)程度でクッとノーズが入って行く。
ボディの追従バランスも良く、一体感があるので、単にステアリングのギアレシオを変えて初期応答性だけが高められたような違和感やお子様的な乗り味は皆無だ。あるいはコーナーを多少攻めてみたところで、タイヤ鳴きはしないし、接地感は終始損なわない。リアが破綻する気配すらなく、かといって粘りすぎの感触も残らない爽快さがある。
実際、ステアリングのギアレシオ等は変更されておらず、この応答性の向上には驚くが、各所のブッシュ類など、別掲のリストには載っていないチューニングを随所に行っているとのこと。さもありなんなのだ。
プライスは418万7400円(税込み)。400万円オーバーの予算となると、選択候補は輸入車も含めてかなり多くなるが、これだけのチューニングにエクステリア&インテリアの専用仕様などを合わせ、ベース車に対してプラス70万1400円(同)は破格といえる。販売はツーリングワゴン、セダンB4を合わせ、11月7日受注分までの限定600台のみ。思い立ったら吉日!の1台だろう。
※記事の内容、価格、スペック等は2010年6月のデビュー当時のものです。その後の一部改良等で変更になっている可能性もあります。
[スタイルワゴン・ドレスアップナビ編集部]