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カロッツェリアの楽ナビを使うといつもそう思う。同ブランドにはフラッグシップのサイバーナビも控えるが、コストパフォーマンスを含めたトータルパッケージとして見ると楽ナビはとても魅力的に映る。
そんな楽ナビが、およそ5年ぶりにフルモデルチェンジした。筐体はおろか基板や配線、中のソフトウェアに至るまですべてを全面刷新したという。この新型、モニターサイズや保証期間の内容に応じて6機種が用意されるが、いずれもハードウェアや機能面の差はない。
今回、8V型モニターを持つラージサイズのAVIC -RL910を使用した感触を踏まえつつ、新型楽ナビに迫りたい。
何よりも画面が抜群にキレイだ。画面にHDパネルが用いられたことが大きい。このパネルは既存のVGAよりも2・4倍の高解像度(276万4800画素)を持つ高精細パネルで、今まで上級機種の一部にしか使われていなかった。それが実売価格で12万円を切るであろう楽ナビに採用されたのだ。
我々が高画質画面を前にすると、つい映像コンテンツがキレイに見られることを想像しがちだ。もちろん、それは間違いない。実際にHDMI入出力対応など、映像伝送経路のフルデジタル化などで、鮮明かつ高コントラストの映像表現を可能としている。
しかし楽ナビが狙ったのは、ナビの原点にして主軸である地図の見やすさだという。単にHDパネル自体が優れているだけではない。HDパネルの持ちうる描写能力を最大限に活かそうと、地図のメニュー画面や各種アイコン、フォントに至るまですべてHDパネル専用に書き換えられたのだ。
つまりハードウェアを引き出すソフトウェアの全面刷新である。
実際、地図描写は鮮明で見やすく、立体交差やビルなど三次元の部分も見事に表現されている。信号機や店舗のロゴはわかりやすく、コンビニ表示には駐車場の有無まで記載されていた。情報ウインドウやモード/ビュー切り替えのボタンも適切だ。
肝心かなめのルート案内は、さすがナビの老舗と断言できるだけの正確さを持っている。この見やすさと賢さならば、全幅の信頼を置けそうだ。しかも広視野角のIPS方式を採用するため、上下左右あらゆる方向から見ても、明るさや色変化がほぼない。PCやスマホと違い、運転席あるいは助手席から〝ナナメに見る〞ことが前提となるナビにとっては嬉しいところだ。
新型楽ナビは「カロッツェリア史上最高画質」と謳っている。この目的は、ナビの本質的な魅力を底上げするため。最高画質は決してエンタメ性を上げるためだけでなく、むしろ主軸はカーライフの“安全、安心”を支えることにあると言える。
そうした意味では、ナビ機能に限らずAV機能を含めて、使い勝手が熟考されていた。楽ナビとして新設されたホームメニュー画面には、よく使うナビ機能を3つ表示させることができる。AVウインドウはアクティブなソースのみが表示される。など、使用頻度の高い項目を最小限の操作で完結させる工夫が随所に見受けられる。
より簡単な表示なら「カンタンモード」なるホームメニュー画面にすることもできる。初めて乗るレンタカーに装備されていても、一瞬で使いこなせそうである。と、新型楽ナビは、誰もに優しく高機能を提供する。
さらに嬉しいのは、カロッツェリアブランドの大きな武器であるAVメインユニットとして幅広い拡張性と、きめ細かいチューニング能力を併せ持つこと。次号ではAVメインユニットという観点からこの新型楽ナビを取り上げてみたい。
AVIC-RL910
AVIC-RZ910
AVIC-RW910
スタイルワゴン2019年9月号より
[スタイルワゴン・ドレスアップナビ]