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今回は、そんなドイツから「環境ゾーン」についての話題をお届けします。日本では聞きなれない言葉かもしれませんが、ヨーロッパの大都市圏を中心に次々と導入されている仕組みのひとつです。一定の効果を上げている一方、様々な問題点も指摘されているこの制度について、あらためて紹介していきたいと思います。
ドイツ、それから周辺のヨーロッパ諸国では、長らくディーゼル車が主流でした。ディーゼル車はガソリン車よりも二酸化炭素の排出量が少ないというメリットがありますが、一方で有害性の高い粒子状物質の排出については、その影響が無視できないほど増加していきました。これらの粒子状物質については、肺がんやぜんそくの原因になるとして、特に大都市圏では大きな問題となっていたのです。
そこでドイツ政府は、2008年1月1日からベルリン、ケルン、ハノーファーの3つの都市で「環境ゾーン(Umweltzone:ウムヴェルトツォーネ)」の導入を開始しました。都市の中心部に「環境ゾーン」と呼ばれるエリアを設けています。そして、そのエリアに侵入するクルマを排気ガスの汚染レベルで区別し、基準をクリアできないクルマは入ることができない、という制度です。
指定の自動車整備工場や陸運局などの機関で検査を受け、クルマにはフロントガラスの右下にシールを貼り付けることが決められました。シールは排気ガスに含まれる汚染物質の量によって色分けされており、排気ガスのきれいな順に、緑、黄、赤が割り当てられています。基準を下回るクルマには、ステッカーは発行されません。ステッカーの発行料は5ユーロから15ユーロです。のちに、排ガス検査設備のあるガソリンスタンドや、インターネットでも入手できるようになりました。
ドイツの環境ゾーンの導入は現在も拡大中で、58もの都市で実施されています。今後、さらにその数は増えていく予定となっています。