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トヨタRAV4をベースとした「バディ」やマツダロードスターをベースとした「ロックスター」など、最新の国産車をベースに旧車のようにハンドメイドでカスタマイズし、販売している光岡自動車。大型のメッキグリルを採用したアメリカンスタイルのバディは納車まで1年以上という人気を誇っています。
その光岡のエントリーモデルとなるのが「ビュート」です。1993年に登場したビュートは、国産コンパクトカー、日産マーチをベースに英国の名車であるジャガーMk1/Mk2を彷彿させる外観に仕立てクラシカルな雰囲気漂うモデルでした。5ドアハッチバックのマーチをベースとしていますが、ボディを延長し独立したトランクをもつノッチバックスタイルに変更。当初のモデルはこのトランクに重量制限がありましたが、日産Be-1から始まった当時のレトロデザインブームに乗って人気を集めました。
ビュートは2005年と2012年にベースの日産マーチのモデルチェンジに対応してモデルチェンジを行いました。そして2023年9月に4代目が登場。ベース車を日産マーチからトヨタヤリスへと変更し、ボディタイプもセダンを廃止、車名もビュートストーリーへと変わっています。今回は1.5Lハイブリッドシステムを搭載したビュートストーリーに試乗できましたので、インプレッションを紹介します。
先代のビュートに搭載されていたパワートレインは1.2L直列3気筒エンジン+CVTの1種類でした。しかし新型のビュートストーリーは1L直列3気筒エンジン+CVTをはじめ、1.5L直列3気筒エンジン+6速MT/CVT、そして1.5L直3エンジン+モーターのハイブリッドの3種類を用意。ヤリスベースとなったことで燃費の良いハイブリッドモデルを設定したのが大きなトピックです。駆動方式は2WDを中心に1.5LガソリンエンジンのCVT車とハイブリッド車で4WDを選ぶことができます。ビュートストーリーの車両本体価格は308万円〜429万円となっています。
今回試乗したのは、最上級モデルのビュートストーリーハイブリッドLX2WD車で、車両本体価格は410万3000円です。オプション装備の専用レザーシート、38万2800円をはじめ、専用加飾パネルセット8万2500円。コンフォートシートセット6万2700円、パノラマビューモニター3万3000円などが装着されている仕様です。
外観では、丸型LEDヘッドライトやハート型のグリル、メッキバンパーを採用し、人懐こい表情に仕立てています。サイドはヤリスの面影が色濃く残るもののボディのキャラクターラインにシルバー加飾を施し、エレガントさ強調しています。リアは丸型のテールランプとウィンカーを内蔵したメッキバンパーを採用し、レトロ感を全身で表現しています。
インテリアもインストルメントパネルやドアトリムにボディ同色のカバーを採用。全グレードで合成皮革を採用した専用レザーシートをオプションで設定しています。クラシカルな外観デザインとは異なり、インテリアは大型ディスプレイを採用し先進感が漂っています。ただし、メータパネルはアナログメーターを採用しているので、最近のクルマとしてはまだ懐かしい雰囲気を持っています。
ベース車がマーチからヤリスとなり、ビュートストーリーは大幅にアップデートされた安全装備を手に入れました。全グレードでプリクラッシュセーフティやオートマチックハイビームなどをパッケージ化した先進安全装置を標準装備しています。また運転支援も高速道路で追従走行が可能なレーダークルーズコントロールを1L車以外に標準装備。また、一部のグレードには急アクセル時加速抑制機能のプラスサポートをオプションで設定し、高齢者に多い運転ミスをクルマが感知して未然に防いでくれます。
高い熱効率を実現した1.5Lダイナミックフォースエンジンを採用したハイブリッドシステムはヤリスハイブリッドそのもの。信号待ちなどの発進加速もモーターのトルクを利用してスムーズかつ静かです。モーターのみの走行からエンジンが掛かる際もエンジン音や振動が抑えられているので快適です。10年以上前のマーチから最新のヤリスベースとなったことの恩恵は非常に大きいと感じました。
外観はカスタマイズされていますが、全長4,090mm×全幅1,695mm×全高1,500mmとベース車のヤリスと同じ5ナンバーサイズなので、日本の道路事情にマッチしており非常に取り回ししやすいのも美点です。
最近は国産、輸入車問わず旧車がブームとなっています。しかし本当の旧車だと故障なども多く購入の心理的ハードルはなかなか高いというのが実際のところ。しかし最新モデルをベースに外観を旧車に仕立てているビュートストーリーのようなモデルであれば、トラブルなどなく付き合うことが可能です。ビュートストーリーは最新のハイブリッドや安全装備は欲しいけれど、かわいくて個性的な外観のクルマに乗りたいという人のニーズに見事に応えてくれます。こういったカスタマイズはニッチな市場と思われがちですが、実は販売開始から10年で1万3000台以上がデリバリーされています。
※記事の内容は2023年11月時点の情報で制作しています。