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国土の広くない日本でさえ、日本中どこにでも行けると言っていいくらいに高速バス路線が張り巡らされています。外国のバス事情を知ることは普段あまりないですが、世界でもバスは重宝されていて、様々な路線が走っています。
日本の路線バスで最長距離を誇るのが、東京~博多間を走る「オリオンバス」。その総距離は約1,100kmで、走行時間は約14時間。これでも相当な距離なのに、世界最長のバスはこの6倍もの距離を走っています。
ペルーにあるオルメーニョ社のバスは、ペルーの首都リマから、ブラジルのリオデジャネイロまで約6,200km、推定102時間かけて南アメリカ大陸を横断!
もともとはブラジル・サンパウロ行きの路線で、それでも5,000km以上走る長大路線でしたが、利用者の要望に応えてリオデジャネイロまで延長したそう。リマから南米諸国への超長距離路線に強い会社だからこそ実現することができたのです。
椅子が硬い、乗客同士の間隔が狭い、荷物を置くトランクがない、道路の整備が行き届いていない地域では揺れがひどい…日本の高速バスでの移動と比べると、乗車環境が整っているとは言えない場合もあります。
また、先述したオルメーニョ社のリマ~リオデジャネイロ路線で、運行時間に「推定」と書きましたが、これは、地域によりますが海外のバスは遅れるのが当然なバスもあり、遅延に遅延が重なってもっと時間がかかることもあるし、スムーズに運行できてより少ない時間で到着することもできるから。
乗客も、遅れに対して同じ意識を持っている場合が多いので、日本と違って数分単位の遅れに過敏になる人は少ないようです。
アメリカの都市間バスの最大手は「グレイハウンド」社。創業100年をこえる企業で、アメリカ全土とカナダ、メキシコの一部に合計3,800路線以上持っています。例えばニューヨークからボストンまで、日によっては10ドルで移動できる格安路線も走っています。
これに負けじと勢力を伸ばしつつあるのが、2003年にイギリスで誕生した「Megabus(メガバス)」。ヨーロッパ諸国とアメリカ、カナダのおよそ100都市で利用できます。
最大の特徴は、予約時期によっては運賃たった1ドルで高速バスに乗れること。予約手数料を含めても2ドルほどで済みます。アメリカ国内でもニューヨークやロサンゼルス、ラスベガスなど主要観光都市はバッチリ網羅しているので、事前にチケットを取っておけば、手続きに手間がかかる飛行機に乗らずとも安価に移動できてしまうのです。
車内は清潔で、各席にコンセントがあるので充電可能。トイレも完備されており、20kg以下の荷物なら持ち込めるなど、サービスも充実。
ヨーロッパ、アメリカを旅行する際はグレイハウンドやメガバスをはじめとした高速バスを活用すると、お安く便利に都市間移動ができるので、チェックしてみましょう!
人口13億人を誇るインド。その東南部、チェンナイ国際空港から徒歩と電車で1時間ほど行くと、アジア最大級のバスターミナル「チェンナイ・モフシル・バスターミナル」があります。
面積は15万㎡で、東京ドーム約3個分、バスタ新宿の約10倍です。都市内や都市間など、周辺の主要都市へ向かうバスが、1日3,000便も発着しています。1日の利用者数は約25万人で、これは東京ディズニーランドの約1週間分の集客数。まさに桁違いのスケールなのです。
ちなみに、ヨーロッパ最大のバスターミナルは、フィンランドのヘルシンキにある「カンピ・センター」。ショッピングセンターが併設されており、買い物や食事もできます。広さは2万5000㎡で、バスタ新宿の2倍ほど。2006年に完成し、毎日約700便のバスが発着しています。
人口が多かったり、国土が広かったり、日本とは異なる特性にそれぞれ対応している海外のバス事情。島国である日本と違って陸続きなので、国境越え路線が多数存在するのも新鮮なポイントです。
この記事は7月5日に発売された新書『高速バスの不思議と謎』(実業之日本社)からの提供。このほか、高速バスに関するたくさんの雑学を紹介しています。これを読めば、高速バス博士になれるかも!?
文/風来堂
(バスとりっぷ編集部)