世界文化遺産の島へ! 長崎「軍艦島コンシェルジュ」の上陸・周遊ツアーに参加!
ざっくり、こんな観光
- 世界文化遺産になった「軍艦島」ってなに?
- 軍艦島の上陸探検記
- 軍艦島を200%楽しめる軍艦島デジタルミュージアム
世界遺産になった軍艦島ってなに?
「軍艦島」の名前で一躍世界で知られる存在になったこの島は、長崎港から南西へ約18kmの沖合いに浮かぶ小さな無人島。「端島(はしま)」が本来の島の名前で、日本の近代化に大きく貢献したエネルギー「石炭」を採掘する海底炭鉱の島でした。
端島のシルエットが軍艦「土佐」に似ていることから、「軍艦島」と呼ばれるようなった所以ですが、まさに軍艦と呼ぶにふさわしいその姿は船から目にすることができます。また、映画「007スカイフォール」(2012年)では島全体をイメージしたセットが作られ映画の撮影がされたり、「進撃の巨人」(2015年)では実際にロケも行われたりするなど、メディアからの注目も集まり、いまや海外から観光客が訪れる人気スポットになっています。
軍艦島の上陸探検記
2015年7月に世界文化遺産に指定された「軍艦島」は、長崎でいま1番熱い観光スポットです。軍艦島へ上陸するため、ツアーの船が長崎から数社出ていますが、今回は中でも人気のある「軍艦島コンシェルジュ周遊・上陸ツアー」に申し込みました。
バスとりっぷでは過去に、ライター海野やよいさんが軍艦島を訪れましたが、沖に出るなり荒天に阻まれて無念! 上陸は叶いませんでした。
同じライター仲間のリベンジを果たすべく挑んだ軍艦島上陸作戦!? その結果は果たして・・・。
▼過去の記事
ユタカライナー関西⇒九州線(ユタカ交通)で京都→佐世保へ、艦これ聖地巡礼 佐世保の旅 軍艦島へ上陸なるか!
しかし「欠航」!!
湾内からでも波がダンスをしているのがわかるほどの時化た(しけた)海。またしても断念! かと、思ったら軍艦島コンシェルジュ(ツアー会社)の方が、翌日の午前便に予約を変更してくれて、チャンスは明日の天候回復に期待することになりました。
そして翌日
朝からたくさんの人たちが受付のラウンジに集まっています。この日の長崎は薄日が差す曇り空でしたが、ひとまず雨の心配はなさそうです。
はたして今日の海は私たちを優しく迎えてくれるのか? 乗船前に行なわれる上陸に際する注意の中で、上陸は船長の判断で決まるという説明なので島に上陸するまでは予断を許しません。
乗船からクールズまでのスケジュールを簡単に紹介します。
10:15 レクチャー開始
10:30 出港
11:15~12:20 軍艦島周遊→上陸(上陸は海の状態を見て船長が適切な判断を下します)
13:00 帰港
話し上手なガイドさんが、軍艦島の歴史や島での生活を写真と一緒に紹介されて、気がつけば出航の時間になりました。港を出た後も、船内では軍艦島をはじめ長崎にある世界文化遺産のお話や、船からしか見ることができない島の風景を楽しく解説してくれます。
斜張橋(しゃちょうきょう)として日本で6番目に長い橋「女神大橋」は、長崎の新しいランドマークとなっています。
船が沖へ出ると、さすがに揺れが出ます。天候によって左右されますが小型の船ほど影響を受けやすいというのは相場のようです。今回は、船首船尾の揺れ(ピッチング)左右の揺れ(ローリング)の両方が同時に楽しめたのでこれはいい体験でした、ということにしておきましょう。
「私は船に酔いやすい」という人は事前に酔い止めの薬を服用しておくか、ラウンジの売店で酔い止めのリストバンドを利用する方法があります。(1個 500円)
使い方はとても簡単! 両手首の内側にあるツボにマグネット(白い磁石の部分)で抑えるようにはめるだけで効果が期待できます。実は船に酔いやすい私でしたが、沖合で船が大きく揺れたにもかかわらず、気分が悪くなることはありませんでした。効果アリ!です。
マーキュリー号が島へ接岸すると、ここドルフィン桟橋から上陸です。港を出たときはどんよりした曇り空でしたが、上陸する頃には夏を思わせる空が私たちを迎えてくれました。
第一見学広場から第二見学広場へ向かうルートは、かつて坑道への入口と炭鉱事務所などここで働いていた人たちの現場を見ることができるコースです。
軍艦島は島民が離れてから廃墟化がすすみ、現在は人の手がほとんど加えられていません。そのため、島の多くの建物は崩壊の危険があり、定められた見学コース以外の立ち入りは禁止されています。
第一見学広場から見て右手、島の北東の方角にある広いエリアは、かつて精炭(精選された石炭)をプールする場所として、ここから石炭運搬船に積み込められました。写真右手に映っているのが貯炭ベルトコンベアーの支柱です。
第二見学広場の前に残るレンガの建物はかつて総合事務所があった場所で、ガイドの方が手にしているのは当時の写真。この建物の奧に巻き上げ櫓(入気口)があったことがわかります。
第三見学広場は軍艦島の1番端(南西部)にあり、沖から軍艦島を眺めたときに戦艦の船首に当たるエリアになります。
第三見学広場の右にある建物は仕上工場跡で、海が荒れた日にはこの建物を超えて波が押し寄せることもあったそうです。そして中央奧にある30号棟は、1916年(大正5年)に建てられた日本最古の鉄筋コンクリートの7階建て高層アパート。いわゆる社宅になります。
島の西側に住宅エリアが広がり、最盛期には島民人口は5,000人を越し、東京23区の3倍、世界最大の人口密度を誇ったのがここ軍艦島です。
驚きの連続で、島での滞在時間もあっと過ぎてしまい、ふたたび船に乗船します。帰路の船内でもツアー参加者に軍艦島グッズが当たるジャンケン大会があったり、周辺の島のお話しをしてくれたりと、船が港に着くまで私を飽きさせないサービスが盛りだくさんな「軍艦島コンシェルジュ周遊・上陸ツアー」でした。
軍艦島コンシェルジュでは、新造船ジュピター号がデビューしました。マーキュリー号よりさらに大きくなり、より快適なクルーズが楽しめる新造艦です。
私が参加したクルーズでは残念ながら乗船することはできませんでしたが、あなたが軍艦島へ行くときにはこの船でクルーズを楽しめるかもしれません。
軍艦島を200%楽しめる軍艦島デジタルミュージアム
軍艦島デジタルミュージアムは最新デジタル技術を駆使した体験型ミュージアム。軍艦島に上陸したことがある人も、まだ上陸したことがない人にも、いま絶対オススメしたい施設です。館内にある14の映像・展示などの魅力的なコンテンツの中から私がもっとも興奮した3つを紹介します。
軍艦島シンフォニー
入場して一番最初に驚かされる映像がこちらです。明治・大正・昭和の時代を生きた軍艦島、当時の写真約3,000枚と最新デジタル技術で撮影された軍艦島や島の暮らしの映像が、全長30mのスクリーンと20台のプロジェクターによって描き出されるプロジェクションマッピングは圧巻の迫力。
いままで見たことがない軍艦島の姿を目にすることができます。
軍艦島ジャンプ
ゴーグルを装着してその場でかるくジャンプするだけで、空高く舞い上がり下をみれば軍艦島の姿を見下ろすことができます。
推定50~80mもの高さから見る世界もこのミュージアムならではの魅力です。
2016軍艦島VR
軍艦島の多くのエリアは現在立ち入り禁止区域に指定されていて、一般ではまず立ち入ることができません。この軍艦島VRは専用ゴーグルを使い、現在立ち入りが禁止されている13のエリアを視界360度の映像探検で満喫することができます。この他にも、観るだけではなく触れたり体感できたりするコンテンツが溢れています。
「軍艦島コンシェルジュ」上陸・周遊ツアーと一緒に楽しめる他に、荒天で軍艦島に上陸できなかったときには、こちらで上陸疑似体験をするのもオススメです。
軍艦島デジタルミュージアム
095−895−5000 9:00~18:00(入館17:30)
アクセス:長崎電気軌道「大浦天主堂下」下車徒歩1分
入場料:大人1,800円、中学高校生1,300円
※「軍艦島コンシェルジュ」上陸・周遊ツアー参加者は半額になります
Webサイト
世界文化遺産の「軍艦島」は、見どころ満載な観光スポットでした。機会があれば、ぜひ訪れてみてはいかがですか?
(出雲義和)