バス運転士の脳を活性化し事故を減らす! WILLER EXPRESS(ウィラーエクスプレス)が取り組む「脳トレ」安全対策
高速バスの運転士が脳を活性化するエクササイズを行い、運転する際の集中力と、交通事故と関わりの深い有効視野の向上を図る取り組みをWILLER EXPRESS(ウィラーエクスプレス)関東・ベイラインエクスプレスがはじめました。
実際にどのような脳エクササイズなのか、ドライバーへの講習の様子も含めて話を聞いてきました。
脳エクササイズで交通事故が減る!
実施する脳エクササイズは、世界で初めて認知症のリスク軽減が実証された「ブレインHQ」という脳の活性化を促すトレーニングです。
実際に、このトレーニングを行ったことで、脳が活性化して認知症の発症率が48%下がった実例があるとのこと。
また、続けていくことで、交通事故が48%減ったという実証データがあり、事故防止に役立つと期待されています。
全部で23種類あるというトレーニングのうち、今回は2つを紹介します。
画面上の丸いマークを目でおっていくターゲット・トラッカーは、追跡力を高めるのに効果があると言われています。
最初に表示される丸いマークを覚えておきます。
次第に他のマークが現れて動き出します。
最初に覚えた丸いマークがどこにあるかをタップします。
徐々にスピードアップして、マークの数も増えていきます。2つまでは比較的簡単ですが、3つ4つとなると、追いきれなくなっていきます。
もうひとつはダブル・ディシジョンというトレーニングで、視野を広げる効果があると言われています。
最初に表示される車の種類とルート66と書かれた看板の位置を記憶して、それをタップしていきます。
一瞬、この画面が表示されるので、車の種類とルート66の看板の位置を覚えます。
モザイクがかかり、すべてが消えます。
その後、車の種類を選択(どちらかをタップ)して、その後にルート66の場所をタップします。
両方当たれば正解です。
スピードが早くなると、一瞬、どちらの車かわからなくなります。レベルが上がると、ルート66の看板以外も表示されるので、かなり集中力が必要です。
このトレーニング、推奨は1日20分、週3回行って合計1時間。これを10週続けて10時間行うと効果が出やすいとされています。
ゲーム感覚で、安全運転に必要な集中力が養える!
「ブレインHQ」を取り扱うネスレ日本の熊谷さんから講習を受け、実際にウィラーの4人のドライバーがタブレットで脳エクササイズを開始しました。
最初は物静かにタブレットの画面を見ていましたが、次第にエクササイズに慣れてきたのか、「これは難しい」「おもしろい」などと声が聞こえてきました。
終了後に体験されたドライバーに話を聞くと、
「ゲーム感覚で楽しくできる」
「やっているうちにすごい集中している」
「楽しく頭の中が鍛えられている感覚」
「視野が広がる」
「続ければ効果が出そうな雰囲気」
「対応スピードが早くなりそう」
といった感想を語ってくれました。
実際に体験させてもらいましたが、まさにその通りで、集中力がグッと高まる感じが、いかにも脳に効きそうなトレーニングでした。
ハード面だけではなく「人」に対する安全対策を
今回の導入にあたり、ウィラーアライアンス広報の本田さんは、
「ドライブレコーダーなどのハード面の整備がしっかりできている中で、次は何かと考えたら”人”への対応、いわばソフト面ではないかと思っています。バスを操るのはドライバーですから、そのドライバーの集中力を高めることは、とても重要な安全対策だと考えています。」
とのこと。
今回の「ブレインHQ」の試験的導入は、1月6日から運用をスタートして、今後は関東のドライバーを中心に約100名に実施する予定。
定期的に行うことで、ドライバーの集中力向上を促進していくとのことです。
また、あるドライバーが「やらされている感じがしない」と語っていましたが、これもとても重要なこと。社内キャンペーンを行って、ドライバーが主体的にこの脳エクササイズを行うよう、推奨しています。
すでに整備されているバスの車体に対する安全装置に加えて、それを操る運転士の集中力向上を図ることで、さらに安全対策を強化するウィラーエクスプレス関東・ベイラインエクスプレスの試み。今後のスタンダードとなっていくかもしれません。
今後、この脳エクササイズの効果がどのように現れるのか注目です。
※取材協力/WILLER EXPRESS
(バスとりっぷ編集部)