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和歌山旅の帰り道は、3列シート席料金にプラス1,000円で乗れる和歌山バスの「サウスウェーブ」プレミアムシートをチョイス。実は1台あたり2席しかない、知る人ぞ知る個室風独立席なのです。
お隣さんへの気兼ねなし。ゆとりのある大きなシート、四方を囲んだカーテンで、寝顔・姿勢・服装を人に見れずリラックスできました。
ゴージャス環境なのにリーズナブル。次回もまた乗りたい、神シート発見です!
子パンダいっぱいのアドベンチャーワールドや熊野古道など、見どころいっぱいの和歌山県。グルメに観光にと楽しんだ帰り道、和歌山と関東を結ぶ和歌山バスの「サウスウェーブ」に乗車しました。
この路線は和歌山バスと成田空港交通が共同運行しています。基本は3列シートなのですが、和歌山バスの運行便のみ、1台につき2席限定の「プレミアムシート」があるのです。
通常の3列シート料金にプラス1,000円するだけで、余裕のあるスペースでゆったり過ごせるとの噂を聞いたことがあり、以前から気になっていました。今回、無事予約でき、噂のゴージャスシートを初体験できることに!
ちなみに、和歌山から東京までは8〜9時間の道のり。サウスウェーブは車内にトイレがあるため、道中SA・PAでのトイレ休憩がありません。
車内で人の移動が少なく、夜中起こされることがほとんどないため、落ち着いて過ごしたい人や、ゆっくり休みたい人にピッタリです。
サウスウェーブが和歌山から関東へ向かう際は、和歌山駅や南海堺駅など5つの停留所を経由。関東では、横浜駅、京成上野駅を経由してTDS・TDLへと向かいます。終点は海浜幕張駅。大阪駅や東京駅には停まらない、ちょっと珍しいルートなのです。
和歌山と上野、どちらも子パンダのいる動物園に近いという共通点がおもしろいですよね。
始発駅である南海和歌山市駅に着いたのは、出発の1時間ほど前。どこかでお茶でも飲んで待っていようと思ったのですが、駅前はそこまでお店がありません。
見つかったのは、和歌山市駅を背に、ロータリーを挟んで向かい側にある居酒屋の白木屋と、その並びにあるセブン-イレブンくらい。
仕方ないので、駅から少し離れた飲食店・味一さんで、「国産牛ロースビフカツ」(1,100円)をいただき晩ごはん。和歌山市周辺では、とんかつやビフカツにかけるソースがデミグラスソースなのです。
セブン-イレブンでお茶を買い、駅前ロータリーでバスを待ちます。停留所に隣接して待合室があるので、寒い時は室内で待っていてもよさそうです。
定刻の5分前、21時10分にピンクのバスが静かにロータリーへ滑り込んできました。乗務員さん2人が迎えてくれ、スーツケースを預けます。荷物と引き換えに引換券を渡されました。
いざ、乗車。入口で名前を告げると「1Cです」と教えられ、バス最前列にある板で囲われた座席に案内されました。
プレミアムシートは乗車口すぐの1Aと、運転席後ろの1Cの2席のみ。マンガ喫茶の個室のような、板で囲われたスペースへ乗り込みます。
シートの上には、青い毛布と赤い三角の背あてクッション。シートは幅60cmとかなりの広さです。
「おおー!」と感動していると、乗客は筆者ひとりだったのでバスは発車準備に入ります。慌てて座席に座り、シートベルトを締めました。
さっそく、プレミアムシートの設備をチェックしてみます。
座席の前方にはオットマン(足乗せ用ソファ)が設置されています。そのサイドには、しっかりした作りのスリッパが。
前方の壁面には、ドリンクホルダーとカバンかけ。ポケットには2枚の説明書とビニール袋が入っています。
窓側の肘掛けの中にはテーブルがあり、通路側には100Vコンセントが1口。
肘掛け込みのシート幅は約80cm。純粋にお尻が入る部分だけでも60cmの幅があり、お尻のでっかいおばさん体形でもたっぷり左右に余裕があります。
背もたれは156度までリクライニング可能。後ろの席とはカーテンで完全に仕切られているので、最高角度まで倒しても何の気兼ねもありません。
プレミアムシートを外部から覗けるのは、入口のカーテン上部のメッシュ部分のみ。人の視線を気にしなくて済むので、ラフな格好で自由に過ごせるのもうれしい点です。
オットマンに足を乗せ、背もたれは常にフルリクライニングにすれば、おうちでごろ寝しているのと同じ感覚で過ごせます。
天井には照明が2つと、エアコンの吹き出し口が2つ。消灯後でも自由に点灯できます。荷物は手前のフックにかけるか、座席後部の棚に乗せても大丈夫。荷物量が多くても余裕があります。
トイレは車両中央にあり、使用状況は車両前方の時計横にトイレマークが点灯することでわかります。
21時30分、JR和歌山駅前に到着。男女カップルと女性がひとり乗り込みます。JR和歌山駅前はにぎわっているので、駅前で時間をつぶしてからサウスウェーブに乗るのもよさそうです。
22時24分、定刻より少し早く泉ヶ丘駅に到着。ここはもう大阪府です。落ち着いた社会人風の男女が3〜4人乗車します。
ここで、隣の1A席にも女性が乗り込みました。周囲を気にせず過ごせるプレミアムシートは、女性に人気のようです。
大阪の堺駅前に着いたのは、定刻ちょうどの22時50分。ここで7人ほど乗り込み、車内はほぼ満席になりました。20〜30代くらいの乗客が多いのですが、なかには出張らしき年配男性2人組の姿も見られました。
関西最後の停留所に着いたのは、これも定刻どおりの23時。男性ひとり、女性3人が乗車します。聞き耳をたてると、京成上野や横浜、TDLといった行き先とおぼしきフレーズがきこえてきます。
乗客が揃うと車内アナウンスが流れ、車外に出るトイレ休憩がないことと、特に事故などなければ予定時刻より早く着く見込みだということが伝えられました。23時12分ごろには消灯していたと思います。
暗くなった車内。後ろの方からはいびきらしき音が聞こえてきますが、プレミアムシートでは周囲のカーテンや壁のおかげで音は気になりません。
ほぼ個室なので、消灯後でもメモを取るために電気を付けたり、スマホでメールを確認したりできます。好きなことをしていても周囲へ迷惑にならないのは非常にありがたいです。
そこまでまぶしくなければ、パソコン作業などもできそうです。作業中の光が周りへの迷惑にならないのはもちろん、パソコン画面を周りから覗かれる心配もありません。
そんなことを考えながら、まもなく眠りに落ちました。朝までの間にバスは何度か停車し、乗務員さんの交代休憩が行なわれていました。
朝まだ暗い中、5時16分に車内の照明が点灯。5時22分には事前の案内通り、予定より50分も早く横浜駅(YCAT)に到着しました。
筆者も起きることにしましたが、体はかつてないほど快適。ゆっくり眠れたことと、足を上げていたのでほぼむくみがなかったことが大きかったようです。オットマンのおかげです。
6時11分には、筆者が下車する京成上野駅へ到着。定刻の7時より50分も早くつきました。背広のサラリーマンなど、8名ほどが一緒に下車します。
サウスウェーブは、これからTDS・TDLと海浜幕張方面へ向かいます。
予定よりも早い到着に驚きましたが、京成線もJR線も始発は過ぎているので移動に不自由することはありません。
拘束時間が長い長距離路線だけに、早めに到着したのはとてもありがたかったです。ただ、かつてないほど快適なシートだっただけに、もうちょっと乗っていたい気持ちもありました。
高速バスの個室風シートにはさまざまな選択肢がありますが、通常の3列シートにプラス1,000円するだけでほぼ個室になるサウスウェーブのプレミアムシートは筆者にとってちょうどよい選択でした。
足がむくみにくいオットマン、大きなお尻におばさん体形でも余裕あるシート、周囲を気にせずに済む個室風カーテン。サウスウェーブのプレミアムシートは、人の目が気になる人や体格のよいの人にはぜひおすすめです。筆者も次回もまた利用しようと心に決めました。