台風シーズン続く 14号が発生すれば名前はノンファ 実りの秋を前に暴風への備えも
今年のように勢力の強い太平洋高気圧は、台風の北上を阻止して本州付近への接近をブロックする働きもあります。その一方、9月、10月と暦が進んでも、太平洋高気圧が南へ後退するステージが遅くなり、台風シーズンを長引かせる懸念があります。これまで、大雨に対する備えは、幾度も呼びかけられてきましたが、これからが台風シーズンと言っても過言ではありません。実りの秋を前に、強風や暴風に対する備えも万全にするように少しずつ計画的に進めるようにして下さい。
●いつまでも勢力の強い太平洋高気圧 台風シーズンを長引かせる懸念も
図の日本地図で示す矢印のように、一般に8月や9月になると太平洋高気圧の縁を回って日本付近を通過する台風が多くなります。季節の進行に伴い、太平洋高気圧は徐々に勢力を弱めて南へ後退し、8月、9月、10月とその進路は南をとるように変わっていきます。
ただこの後、暦の上では秋になっても、太平洋高気圧の勢力がいつまでも強い状態が続くと、10月頃になっても、本州付近を通過する台風が例年より多くなる懸念もあります。
大雨に対する備えは、これまでも幾度も呼びかけられてきましたが、これからが台風シーズンと言っても過言ではありません。実りの秋を前に、強風や暴風に対する備えも万全にするように少しずつ計画的に進めるようにして下さい。
●台風は生まれる前からほぼ名前が決まっている
気象庁では、毎年1月1日以後、台風の発生した順番に、第1号から付番しています。
2000年からは、北西太平洋または南シナ海の領域で発生する台風には、同領域内では共通のアジア名を付す運用をしています。台風の防災に関しては、日本を含む14カ国等が加盟する広域の組織として台風委員会があり、各国から10個ずつ提案された計140個の名称をリストの順番に付す運用をしています。年間の台風発生数の平年値は25.1個なので、概ね5〜6年で一巡するサイクルとなっています。
但し、100度経線を越えた元サイクロンや180度経線を越えた元ハリケーンなどの越境台風は、最初の名前を引き継ぐルールになっており、140個のリストにはない名前の台風もあります。この他、大きな災害をもたらした台風の名前は、以後使用しない場合もあります。
台風第13号のアジア名は、日本が提案した「カジキ」です。次に台風第14号が発生した場合、元サイクロンや元ハリケーンなどの越境でなければ、名前はラオスが提案した「ノンファ」になる見込みです。台風は生まれる前からほぼ名前が決まっているのです。
●2018年9月4日 台風21号 北陸の暴風事例
8月28 日に南鳥島近海で発生した台風第 21 号は、日本の南を北西に進み、9月3日には向きを北寄りに変え、4日12 時頃に非常に強い勢力で徳島県南部に上陸しました。その後、4日14 時頃には兵庫県神戸市に再び上陸し、速度を上げながら近畿地方を縦断し日本海へ抜けました。
台風の接近・通過に伴って、西日本から北日本にかけて非常に強い風が吹き、北陸地方でも記録的な暴風が吹き荒れました。倒木やそれに起因する停電、窓ガラスの破損や各種の飛来物によるけが、車の破損、収穫前の果物の落果、中型トラックの横転、運休など交通の大きな乱れが発生、その影響は甚大となりました。
●2020年9月3日 台風9号 北陸で強いフェーン 40℃以上の高温事例
日本海に進んだ台風9号に向かって吹き込む強風の影響で、新潟県を中心に強いフェーン現象が発生しました。寒冷前線から離れた新潟県で強い日差しが降り注いで気温が上昇、複数の観測地点で体温超えの危険な暑さとなり、9月なのに40℃以上の地点が2地点もありました。
●※番外編 停電・故障等で冷房等が使用できない場合への備えを
この時期、暴風や落雷の影響による停電により冷房や扇風機が使用できなくなった室内は、即命の危険にさらされてしまいます。また、停電は無くても、今夏の記録的猛暑の影響で冷房の室外機の故障が増加している報道もあります。また、緊急避難などで、日陰の無い屋外で長時間待機することを強いられてしまうケースも、現実におこっています。
万一の際でも、最低限のクールダウンが出来るように、冷凍庫には凍らせた飲料水を常備しておきましょう。保冷剤として使用できますし、溶ければ飲んで水分補給することも可能です。また、うちわや扇子なども案外重宝しそうです。身体に大きな負担がかかる時期となっています。体調管理には十分注意してお過ごし下さい。