越境台風8号 エルニーニョ現象や大西洋の記録的な海水温でハリケーン平年上回る予想
台風8号は、元々は北東太平洋で発生したハリケーンです。今シーズンのハリケーンは、中部太平洋で平年並みか平年を上回る予想です。大西洋では、当初は平年並みの予想でしたが、平年を上回る予想に引上げられました。
●越境台風8号 日本に影響なし 台風とハリケーンの違い
日本には影響はありませんが、台風8号は、きょう14日正午、ウェーク島近海を時速25キロで西へ進んでいます。中心の気圧は998hPa、中心付近の最大風速は23メートルです。
今後、台風8号はウェーク島近海を北上し、17日には熱帯低気圧に変わる見込みです。
台風8号は、元々は、2日に北太平洋東部で発生したハリケーンDoraです。12日午前9時に、日付変更線を越えて台風になりました。
台風もハリケーンも、熱帯低気圧を強さによって分類している用語の一つです。台風は、東経180°より西の北太平洋及び南シナ海に存在する熱帯低気圧のうち、最大風速が約17メートル以上になったものを指します。ハリケーンは、北大西洋、カリブ海、メキシコ湾及び西経180°より東の北東太平洋に存在する熱帯低気圧のうち、最大風速が約33メートル以上になったものを指します。
●ハワイの山火事 ハリケーンDoraの強風が延焼の一因に
ハリケーンDoraは、ハワイの現地時間8日午前5時、ハワイ諸島の南海上を進みました。この時、中心気圧は953hPa、最大風速は115ノット(約59.2m/s)でした。
ハワイのマウイ島で8日に発生した山火事は、ハリケーンDoraに伴う強風によって、火が市街地に急速に燃え広がったとみられます。
●ハリケーン 太平洋と大西洋シーソーの関係は成立せず 平年上回る予想
春からエルニーニョ現象が発生しています。エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、その状況が1年程度続く現象です。世界中の異常な天候の要因になり得ると考えられており、ハリケーンにも影響を与えるといわれています。
エルニーニョ現象発生時の典型的なパターンは、太平洋でハリケーンの活動が強化されます。太平洋と大西洋は、シーソーのような関係があり、一方でハリケーンの活動が強化されると、もう一方はハリケーンの活動が弱まるといわれています。
アメリカ海洋大気庁が5月下旬に発表したハリケーン予想では、中部太平洋では平年を上回る確率50%、平年並みになる確率35%でした。一方、大西洋では平年並みになる確率40%、平年を上回る確率30%でした。
典型的なエルニーニョ現象発生時のパターンになると思われましたが、8月10日に、大西洋のハリケーンの予想の引上げが発表されました。大西洋で平年を上回る確率60%と、当初の予想から30ポイントも高くなりました。
大西洋の海面水温は、5月末から急速に上昇し、記録的に高くなっています。この影響は、エルニーニョ現象による大気の状況を打ち消すほどのようです。
今シーズンは、太平洋だけでなく、大西洋でも例年以上にハリケーンに注意が必要です。
参照:アメリカ海洋大気庁ホームページ
https://www.climate.gov/news-features/blogs/enso/impacts-el-ni%C3%B1o-and-la-ni%C3%B1a-hurricane-season