エルニーニョ現象 今年の春から発生 秋にかけて続く可能性が高い 日本への影響は
気象庁はきのう10日、エルニーニョ監視速報を発表しました。今年の春からエルニーニョ現象が続いているとみられ、 今後、秋にかけて続く可能性が高くなっています。
●6月の実況
気象庁はきのう10日、エルニーニョ監視速報を発表しました。
6 月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値からの差は +1.3℃で、基準値より高い値となりました。エルニーニョ現象発生の判断に使用している 5 か月移動平均値の 4 月の値は +0.7℃。太平洋赤道域の海面水温はほぼ全域で平年より高く、海洋表層の水温は太平洋赤道域のほぼ全域で平年より高くなりました。
太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は平年より活発で、中部太平洋赤道域の大気下層の東風(貿易風)は平年並みとなりました。このような太平洋赤道域の状態は、海洋はエルニーニョ現象の状態となっていて、大気にもエルニーニョ現象時の特徴が現れつつあることを示しています。このことから、春からエルニーニョ現象が続いているとみられます。
●今後の見通し
実況では、太平洋赤道域の中部から東部にみられる海洋表層の暖水が、東部の海面水温が高い状態を維持しています。
大気海洋結合モデルは、太平洋赤道域の中部から東部にかけて海洋表層の暖水をさらに強め、エルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差が大きくなり、予測期間中、基準値より高い値で推移する可能性が高いと予測しています。以上のことから、秋にかけてエルニーニョ現象が続く可能性が高い(90 %)としています。
●エルニーニョ現象とは?
「エルニーニョ現象」が発生するのは、太平洋赤道域です。このあたりは貿易風と呼ばれる東風が吹いているため、通常、暖かい海水は西側のインドネシア付近に吹き寄せられる一方、東側の南米沖では、海の深い所から冷たい海水がわき上がっています。
ただ、何らかの原因で東風が弱まると、西側の暖かい海水が東側へ広がるとともに、東側にわき上がる冷たい海水の勢いが弱まり、南米沖の海面水温が通常より高くなります。このように、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて、海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象を「エルニーニョ現象」と呼びます。
「エルニーニョ現象」は海で起こる現象ですが、発生すると大気にも影響を及ぼし、世界各地で気圧配置などがいつもとは違った状態になります。雨や雪の降りやすい場所や、風の吹き方、気温などが変わってくるのです。「エルニーニョ現象」発生時の日本は、冷夏や暖冬になりやすいと言われています。
6月20日に発表された3か月予報によりますと、今年の7月~9月の平均気温は、東日本で平年並みまたは高い確率ともに40%、西日本で高い確率が50%、沖縄・奄美で高い確率が60%となっています。今年の夏は、エルニーニョ現象が発生しても、全国的に厳しい暑さでしょう。