例年「黄砂」の飛来いつまで多い? 大気汚染物質とともに飛来することも 影響と対策
黄砂が日本列島に飛来するのは3月と4月がピークで、5月も度々飛来することがあります。今年は4月12日(水)から13日(木)にかけて日本列島の広範囲に黄砂が飛来しましたが、あす18日(火)も九州に飛来する可能性があり、注意が必要です。黄砂の影響と対策をまとめました。
●黄砂の飛来 例年、いつ頃まで多い?
上の図は1967年から2021年まで黄砂の観測を続けている11地点(札幌、仙台、東京、新潟、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、鹿児島、那覇)について、黄砂現象が観測された日数を月別に集計し、1991年から2020年の30年で平均した値です(気象庁調べ)。
3月と4月がピークですが、5月も2.7日と度々黄砂が飛来しており、5月いっぱいは黄砂の飛来に注意が必要になります。6月になると黄砂観測日数はグッと減り、7月から9月はほとんど観測されなくなります。
まだ黄砂の飛来が多い時期が続くため、注意が必要です。
●あす18日(火)も九州に黄砂飛来の可能性
今年は3月24日(金)に新潟で全国で今年初めて黄砂を観測しました。4月12日(水)から13日(木)にかけては黄砂が日本列島の広範囲に飛来し、福岡から札幌にかけて広く黄砂を観測しました。このとき、普段は、黄砂の飛来があまり多くない関東にも飛来し、東京で13日(木)・14日(金)と2日連続で黄砂を観測しました。その後、16日(日)にも鹿児島で黄砂を再び観測しています。
あす18日(火)も九州を中心に黄砂が飛来する予想です。先日(12日(水)から13日(木))ほどの濃度にはならない見込みですが、黄砂が洗濯物や車に付着する可能性があり、注意が必要です。洗濯物は部屋干しが安心です。車に黄砂が付着してしまった場合は、タオルやぞうきんで拭くと細かなキズをつけてしまうことがあります。高圧洗浄などの水洗いが効果的とされていますので、洗浄すると良いでしょう。
●黄砂とは? 大気汚染物質とともに飛来することも
黄砂とは、中国大陸奥地のタクラマカン砂漠やゴビ砂漠などで舞い上がった砂ぼこりが、飛んでくる現象です。黄砂は、上空の強い風によって、遠く離れた日本へも飛んできます。日本で、黄砂が観測される回数が多いのは西日本ですが、東日本や北日本など広い範囲で黄砂が飛ぶこともあります。
環境省によりますと、日本へ飛来する黄砂の粒子の大きさは4μm付近のものが多く、一部2.5μm以下の微小な粒子も含まれているため、PM2.5の測定値も上昇することがあります。黄砂が輸送される過程で、大気汚染物質の発生が多い地域を通過する場合、大気汚染物質とともに飛来することもあります。
●黄砂が体に与える影響は?
環境省によりますと、黄砂の飛来によって、以下のような呼吸器や循環器に係る疾患の症状の悪化が指摘されています。
① 黄砂の飛来は、目や鼻、皮膚などのアレルギー症状との関連があり、目のかゆみ、結膜炎、鼻水やくしゃみなどを引き起こすことがあると報告されています。黄砂の濃度が高い日ほど、それらの症状が発症する方が多くなる傾向にあります。
② 黄砂の飛来と、呼吸器疾患についての関連が報告されています。黄砂が飛来すると気道や目、皮膚症状の悪化が見られる場合があります。喘息など呼吸器疾患のある人はいっそう注意が必要です。呼吸器疾患のない人でも黄砂の濃度が高いほど咳が出ることが報告されています。
③ 黄砂の飛来と循環器疾患について関連がみられています。 黄砂の飛来と救急搬送数増加、脳梗塞での入院や心筋梗塞での入院、発症の増加との関連が報告されています。高齢者や糖尿病、慢性腎臓病等の既往歴がある方は、循環器疾患への影響リスクが高いため注意が必要です。
●黄砂の健康への影響を予防するには?
黄砂の健康への影響を予防するには以下の3つのポイントがあります。
① 日頃から最新の情報をチェックし、黄砂の飛来予測を把握しましょう。
② 黄砂が飛来している時は、不要不急の外出を控えることで黄砂を吸い込んでしまう量を減らすことが期待できます。特に、高濃度の黄砂が飛来しているときには、屋外での長時間の激しい運動は避けるとよいでしょう。 呼吸器や循環器に疾患のある方、小児、高齢者の方などは、体調に応じて、より慎重に行動することが大切です。洗濯物や布団は、できるだけ室内に干しましょう。
③ 黄砂が飛来している時は、マスク(不織布マスク等)を着用することで、ある程度の予防効果が期待できます。マスクを着用する場合には顔の大きさに合ったものを選び、空気が漏れないようにしましょう。