ラニーニャ現象は次第に終息に向かう 今年の夏はどうなる?
気象庁は11日、「エルニーニョ監視速報」を発表しました。ラニーニャ現象が続いているとみられます。ラニーニャ現象は、終息する可能性が高く、夏は平常の状態になる可能性が高くなっています。
●3月の実況
3月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は−0.7℃で、基準値より低い値でした。太平洋赤道域の海面水温は、中部から東部で平年より低くなりました。海洋表層の水温は、西部で平年より高く、中部で平年より低くなりました。太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は平年より不活発、中部の大気下層の東風(貿易風)は平年より強くなりました。このような大気と海洋の状態はラニーニャ現象時の特徴を示しており、ラニーニャ現象が続いているとみられます。
●今後の見通し
実況で太平洋赤道域の中部に見られる海洋表層の冷水は、目先、東部の海面水温が低い状態の持続に寄与する見込みです。一方、西部に見られる暖水は今後東進し、東部の海面水温を上昇させるとみられます。大気海洋結合モデルは、エルニーニョ監視海域の海面水温が、今後春は基準値より低い値で推移しますが、夏は次第に基準値に近づくと予測しています。以上のことから、今後、春の間にラニーニャ現象が終息し、平常の状態になる可能性もありますが(40%)、ラニーニャ現象が続く可能性の方がより高くなっています(60%)。その後、夏は平常の状態になる可能性が高くなっています(70%)。
●西太平洋熱帯域 及び インド洋熱帯域の状況
西太平洋熱帯域:3月の西太平洋熱帯域の海面水温は、基準値に近い値でした。今後、春は基準値に近い値か基準値より高い値で推移し、夏は概ね基準値に近い値で推移すると予測されます。
インド洋熱帯域:3月のインド洋熱帯域の海面水温は、基準値より低い値でした。今後、夏にかけて基準値に近い値か基準値より低い値で推移すると予測されます。
●今年の夏はどうなる?
8月にかけて、偏西風は、日本付近で平年より北を流れるでしょう。今年の夏は、太平洋高気圧の北への張り出しが強く、日本付近は暖かい空気に覆われやすい見込みです。九州から北海道は例年より暑い夏になる可能性もあります。