10月の振り返りと今冬の見通し 寒冬?暖冬? ラニーニャ現象発生の可能性も
10月の天候まとめと、これから冬にかけての見通しです。10月の前半は季節外れの暑さに、後半は一転して季節が進み、冬の便りも続々と届きました。今冬は西日本を中心に平均気温が平年より低くなる見込みで、厳しい寒さとなる予想です。
●10月前半は季節外れの暑さ
10月前半は季節外れの暖かい空気に覆われ、広く10月とは思えない暑さが続きました。
3日は大分県日田市で35.7℃を観測。猛暑日となりました。盛夏の時期には高温になりやすい日田市ですが、10月に猛暑日となるのは統計開始以来、初めてのことでした。
また、大阪市では10月に6日間、真夏日を観測しました。1883年の統計開始以来、10月の真夏日日数の記録を更新しました。
●10月後半は急に季節が加速
一転して、10月後半は度々、西高東低の気圧配置になり、季節先取りの寒気が流れ込みました。
17日には続々と冬の便りが届きました。北海道では平地でも雪が降り、稚内、旭川、網走で初雪となりました。また、網走では初霜、帯広で初霜と初氷を観測。初雪、初霜、初氷いずれも今シーズン全国で初めての観測でした。
また、23日には、西高東低の気圧配置になり、広く北風が強まりました。大阪管区気象台は「近畿地方で木枯らし1号」が吹いたと発表。昨年(10月23日)と同じで、記録が残る1955年以降では最も早い木枯らし1号となりました。
さらに、24日の朝は冷え込みが強まりました。宇都宮で平年より21日も早く初氷を観測し、本州で今シーズン初めての初氷の観測となりました。この日、東京都心でも最低気温が7.9℃まで下がりました。東京都心で10月に最低気温が7℃台まで下がったのは37年ぶりのことでした。
このように10月は季節外れの暑さから一転して、後半は一気に季節が進みました。
●ラニーニャ現象発生の可能性も
では、これから冬にかけての天候はどうなるでしょうか。
気象庁発表のエルニーニョ監視速報によりますと、ラニーニャ現象時の特徴に近づきつつあり、秋から冬にかけてラニーニャ現象が発生する可能性の方がより高い(60%)と予測しています。(平常の状態が続く可能性も40%あります。)
気象庁による過去の統計では、ラニーニャ現象発生時、日本での冬(12月~2月)の天候は、日照時間は北日本太平洋側で多い傾向ですが、平均気温や降水量には特徴がみられないとされています。ただ、近年ラニーニャ現象が発生した冬では、冬全体的としては寒冬とはならなくても、一時的には強い寒気が流れ込み、厳しい寒さや大雪をもたらしています。
記憶にも新しい2020年~2021年の冬は、前半に強い寒気が流れ込んだ影響で、群馬県藤原や新潟県湯沢では24時間降雪量が1mを超えて記録的な大雪となり、関越自動車道では多数の車両が立ち往生するなど、大規模な交通障害が発生しています。
●冬にかけての見通しは
今シーズンの冬にかけての見通しを最新の長期予報でみていきます。
11月の平均気温は上旬は北日本や東日本で平年並みか高いですが、中旬以降は全国的に平年並みになるでしょう。晩秋になると、急に寒い日が増えそうです。
12月と1月は西日本を中心に寒気の影響を受けやすくなるでしょう。平均気温は北・東日本は平年並み、西日本や沖縄・奄美で平年並みか低くなる予想です。日本海側では雪や雨の降る日が多く、特に西日本で平年より多くなるでしょう。
今冬は西日本を中心に平年より厳しい寒さが予想されます。また、北日本や西日本の日本海側では降水量が多くなる見込みです。厳しい寒さに加え、大雪にも注意が必要になりそうです。