【甲子園】日大三・本間律輝、吹奏楽部の姉の背中追い入学「勝って読みたかった」手紙は最高の贈り物
<真夏のライラック:日大三・本間律輝外野手(3年)>
<全国高校野球選手権:沖縄尚学3-1日大三>◇23日◇決勝◇甲子園
日大三(西東京)が、14年ぶりの夏の頂点をあと1歩のところで逃した。決勝戦で沖縄尚学に競り負け準優勝。「強打の三高」らしく新基準の低反発バットに対応しながら勝ち進んできたが、大一番で6安打1得点と攻撃陣が振るわなかった。
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準優勝に終わった本間は、試合後、涙が止まらなかった。「悔しい。三木監督、チームメート、家族…。みんなに支えられてここまで来られた。高校野球が終わった」。再び涙がほおを伝った。
決勝の舞台で主将の意地を見せた。1回1死二塁から先制の適時二塁打を含め3安打1打点。「何とかしてやろうと思った結果です」。声を振り絞った。
今夏、肌身離さず持っていたお守りがある。西東京大会前、長女の姉彩香さん(28)から渡されたものだ。お守りの中には1通の手紙が入っていた。「大会が終わったら読んでね」。それまでは絶対に読まない。姉との約束だ。「ここまで負けなかったのは、このお守りのおかげかな」。決勝前も、ギュッと握り締めて試合に臨んだ。
3きょうだいの末っ子。2人の姉は日大三吹奏楽部の部長だった。姉らが甲子園で演奏するのを見て「日大三で甲子園に行く」と決意した。昨秋、主将に就任したが、人前で話すのが苦手で苦労した。ストレスで顔のニキビも増えた。「律輝なりのキャプテンシーで、引っ張ればいいよ」。2人の姉が背中を押してくれた。
試合後、彩香さんからの手紙を読む。「勝って読みたかった。泣かないようにします」。手紙のひと言、ひと言は、この夏頑張った自分への最高の贈り物だ。【保坂淑子】