日大三対県岐阜商 2回裏県岐阜商無死一、三塁、右犠飛を放つ横山(撮影・和賀正仁)

<全国高校野球選手権:日大三4-2県岐阜商>◇21日◇準決勝◇甲子園

県岐阜商の快進撃が止まった。延長10回の接戦に敗れ、69年ぶりの決勝進出はならなかった。準々決勝で横浜(神奈川)と球史に語り継がれるような激闘を演じ延長11回サヨナラ勝ち。全国屈指の名門校が、久しぶりに甲子園に強烈な印象を残した。

生まれつき左手の指が欠損している横山温大外野手(3年)の高校野球も幕を閉じた。最後もバットで観客を沸かせた。

0-1の2回無死一、三塁。1ストライクからの2球目、内角低めに食い込んでくるスライダーを思い切りすくい上げ、右翼の定位置まで飛ばした。

ただ「大事なところで1本を出せず、追加点が取れなかったのが申し訳ない」とその後の3打席凡退を反省した。4回の一直、6回の左飛はともにしっかりと捉えた打球。ハンディを忘れさせるような打力で、大きな拍手をもらった。

準々決勝までの全4試合で安打を放つなど、最初で最後の甲子園は5試合で19打数5安打、3打点の成績だった。

「ここまで野球を続けてこられたのは、18年間サポートしてくれた両親や周りの人たちのおかげ。本当に感謝したいです。ここに立つために野球を続けてきた。歓声が気持ちよくて、本当に楽しかった。夢のような、最高の場所でした。1試合ずつ自信がついて、人間としても成長させてもらった。今はやり切った感覚の方が強いです」。幾重にも連なる報道陣に囲まれ、爽やかに笑った。

投手として入学したが、1年秋に自ら野手専念を申し出た。不安もあったというが「覚悟を持って腹をくくった」。誰もが認める努力で、自分なりのスイングと、グラブを素早く持ち帰るスローイング方法を固め、甲子園でも攻守に好プレーを連発した。

大学でも野球を続けるという。「自分と同じようなハンディがある子にも、やれるんだぞという自信を持ってほしい。少しでも勇気を与えたいと思ってプレーしていました。これから、もっともっと苦しいことがあると思うけど、もっとバットを振り込んで、しっかり鍛えて、しっかりと目標を持ってやっていきたい。もっと勇気を与えられる選手になりたいです」と目を輝かせた。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【甲子園】手にハンディの県岐阜商・横山温大「夢のような場所。やり切った」大学でも野球を