横浜対津田学園 9回裏津田学園2死一、二塁、桑山を左飛に打ち取り、笑顔を見せる横浜・織田(撮影・前田充)

<全国高校野球選手権:横浜5-0津田学園>◇17日◇3回戦

横浜の真のエースへ-。織田翔希投手(2年)の気迫あふれる106球が、チームを17年ぶりの8強入りに導いた。

2回戦の翌日15日から食あたりに。16日は練習を休むほどだった。それでも、村田浩明監督(39)に「大丈夫です。監督、信じてください」と先発を志願。回復したばかりの体を奮い立たせ伸びのある真っすぐに変化球で緩急をつけ打たせてとった。「バッターを見ながらモーションを変えたり。大人の投球で成長を感じた」と指揮官も目を見張る投球で5安打5三振。9回表には村田監督に「代わるか?」と声をかけられたが「投げたいです」と即答。「他の投手を温存して自分が犠牲になっても勝ちにこだわりたかった」と織田。今大会2度目の完封で甲子園通算6勝目。センバツの準々決勝、西日本短大付戦の3回から、甲子園では39イニング自責点0を記録中も「勝ったことがうれしい」。記録よりも勝利を喜んだ。

好調を支えるのは、センバツ後の原点回帰だ。「春、関東大会が終わった後、監督にキャッチボールを指導され、1からやり直した」。フォームを確認しながら理想の軌道で投げる。「相手のグローブの奥に突き刺さるイメージ。通り越して、奥にいく球を意識する」。1年前から相棒を務める前田一葵(いちき)投手(3年)は「角度があるので例えるならジェットコースターみたい。音もヘリコプターみたい。エグイですよ(笑い)」。回転数の高い球で前田のグラブはどんどん擦り切れ、今年6月にはついに(ポケットの)皮の部分が破れてしまった。

織田は「横浜のエースは取り組みも含め誰からも信頼される人」と理想像を描く。また一歩、横浜の真のエースに近づいた。【保坂淑子】

◆横浜の2完封 織田が今大会2度目の完封勝利。横浜の投手が夏の1大会で完封を複数回記録したのは、98年に3完封した松坂大輔以来2人目。

◆通算6勝 織田は甲子園通算6勝目。2年生までに6勝した最近の主な投手は、13年夏優勝の高橋光成(前橋育英2年)が1大会で6勝。04年の福井優也(済美2年)は春夏4勝ずつの計8勝をマークした。

◆春夏連覇M3 横浜が8強入りし、12、18年の大阪桐蔭に次ぎ2校目となる2度目の春夏連覇へあと3勝。センバツ優勝校の8強入りは22年大阪桐蔭以来20度目となり、過去の準々決勝敗退は4度だけ。

○…初戦から2試合で1安打にとどまっていた横浜の阿部葉が、3安打1打点と猛打賞の活躍を見せた。「チームのみんなに今まで助けてもらったので、そろそろ自分もやんないといけないと思って。横浜高校が掲げてきた5対0の理想の野球ができた」と満足そうに振り返った。17年ぶりの8強入り。「1つギアを上げてやっていきたい」と準々決勝以降を見据えた。

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【甲子園】横浜・織田翔希、食あたりも「信じてください」先発志願し完封「成長を感じた」村田監督