東洋大姫路対西日本短大付 東洋大姫路に敗れ、整列する西日本短大付の選手たち(撮影・前田充)

<全国高校野球選手権:東洋大姫路3-2西日本短大付>◇17日◇3回戦◇甲子園

「自信を持って、回しています」。西日本短大付の三塁コーチ。田渕尊内野手(3年)は瞬時に判断し、迷いなくホーム突入を指示する。3回に2点を先制。コーチャーズボックスから飛び出し、体を目いっぱい使って、全力で腕を振った。「自分の腕を振っているのを(走者が)見てホームインする姿を見るのが…」と言葉を詰まらせ「その1つ1つのすべてが思い出です」と胸を張った。

沖縄・石垣島出身。中学時代は大阪の北摂シニアでプレーした。当時、島内に中学の硬式チームがなく、「自分は高いレベルで野球がしたい」。島外で野球をすることを決心するも、母三穂さんは猛反対。だが、息子の熱意に根負けした。父直樹さんは仕事を転職。息子と一緒に大阪の実家へ引っ越した。田渕は「自分の野球生活を支えてくれたのは両親。心の底から感謝です」と目に涙を浮かべた。

明るい性格で、チームの元気印だった。攻撃時には三塁コーチにつく際、三塁ベース付近の足場を丁寧にならす。「もし、ゴロとかバウンドが変わったらいけないじゃないですか。自分たちにはラッキーかもしれないですけど、自分たちは正々堂々と戦いたいので」と言う。

今大会初戦では7回表に代走で出場した。夏の福岡大会を含め、今夏初めての起用。スタンドから見届けた三穂さんは「涙が出そうになっちゃって…」。高校も寮生活で、中高と約6年間は息子のそばにいることができなかった。その分、いろんなものがこみ上げた。田渕は両親へ「真っ先に『ありがとう』と伝えたい」。最後まで涙目だった。【佐藤究】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【甲子園】西日本短大付の三塁コーチ田渕尊「心の底から感謝」中学で地元離れ、両親へ涙の感謝