巨人対阪神 4回表阪神2死二、三塁、左前に2点適時打を放つ近本(撮影・たえ見朱実)

<巨人6-5阪神>◇15日◇東京ドーム

阪神近本光司外野手(30)が新人から7年連続でシーズン130安打に到達した。巨人戦で4回に2点適時打を放つなど3安打。6月3日に89歳で亡くなった巨人終身名誉監督の長嶋茂雄さんの12年連続に続く快挙となった。試合は逆転負けでマジック26のまま。16日の同カードは長嶋さんの追悼試合。ライバル球団として、伝統の一戦を盛り上げる。

   ◇   ◇   ◇

目立たないが、大きな意味のある勲章だ。近本が初回の打席で山崎から鮮やかな左前打。これが今季の130安打目。プロ1年目から7年連続で年間130安打以上を打ったのはプロ野球史上2人目だ。6月3日に89歳で亡くなった長嶋茂雄さんの12年連続に続く記録となった。

近本が歩む記録の道には、不思議とミスタープロ野球がいる。大阪ガスから入団した1年目に159安打を放ち、長嶋さんのリーグ新人記録を更新。昨年は6年目までの通算安打で長嶋さんが持つ最多記録を超えた。1年目から打撃タイトルを連ねるのも同じだ。

「毎年、長嶋さんと比較されるのはすごく光栄。毎年その記録に挑めるのはモチベーションになっている」と、縁とともに励みに感じている。セ・リーグは長嶋さん以前から96年まで130試合制が長く続いた。現在は143試合あるが「1試合、まずは1本」を日々の絶対目標とする近本にとってはノルマの数字。それを7年続けてきた。

多くの記録は「継続」によって生まれる。即戦力入団の期待に応えた上で、体のケア、スキルアップ、相手の研究にも余念がないからできることだ。長期ロードの「後半」初戦。宿泊先によって、どう時間を使い、どのジムで何をするかなど過ごし方は決まっている。「少し遠征が長いからと言って、何も変わらないですね。普段のビジターと同じです」と平然と言う。

4回には点差を一時4点に広げる2点左前打。7回にも内野安打で今季13度目の3安打をマーク。5回の中堅守備では滑り込みながらの好捕も見せた。「先制したあと簡単に終わらず、チームとしていい攻撃だった。その中で走者をかえす打撃ができた。しっかり得点に絡みましたけど、最終的に勝てなかったので」と淡々と振り返った。

偶然にも「130安打」目が巨人戦。しかも16日は「長嶋茂雄終身名誉監督追悼試合」として開催される。巨人に敗れてマジックは減らなかったが、どんな試合も、いつもの準備、自分の仕事に集中するだけ。「明日は明日、今日は今日ですから」と、言い残してドームの回転ドアをくぐった。【柏原誠】

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【阪神】ミスターとともに記録歩む近本光司、新人から7年連続130安打 長嶋さん12年に次ぐ2人目