【甲子園】日大三の2年生4番田中諒決勝ソロ「おいしいお肉食べたい」前日緊張で食事のど通らず
<全国高校野球選手権:日大三3-2豊橋中央>◇11日◇1回戦
春夏合わせ3度優勝の日大三(西東京)が初出場の豊橋中央(愛知)を破り、2年ぶりの勝利を挙げた。2-2で迎えた8回裏、4番田中諒内野手(2年)が決勝の左越えソロ本塁打を放った。先発の近藤優樹投手(3年)は6回に外野手のミスから2点を失ったが粘り強い投球で完投した。3回戦で高川学園(山口)と対戦する。
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重苦しい雰囲気を断ち切ったのは、主砲の1発だった。「強打の三高」と呼ばれる日大三が7回まで3安打と打ちあぐねる中、2年生4番の一振りが試合を決めた。2-2の8回。先頭で田中諒が2-0と打者有利なカウントに持ち込み、インコースに来た狙い球の真っすぐを捉えた。左越え決勝ソロに「詰まり気味でしたが、うまく風に乗ってくれました」と快感に浸った。
西東京大会準決勝(八王子学園八王子戦)のサヨナラ弾に続く、4番の務めを果たした。「サヨナラもすごくうれしかったですけど、代々の先輩たちが勝ってきた甲子園でホームランを打てたのがもっとうれしい」。ベンチに戻るなり無我夢中でハイタッチを交わすほどの興奮の一打だった。
登録メンバー最重量の92キロの体は、毎日ごはん3、4杯をペロリとたいらげる大食いで作り上げた。1年秋から4番を務め修羅場をいくつも経験したと思っていたが、自身初の甲子園のプレッシャーは想像以上。前日は食事がのどを通らない。白い歯をのぞかせ、漫画のバカボンに似ていると周囲から言われた笑顔すら消えるほどだった。
だが、回が進むにつれ緊張はほぐれていった。小倉全由前監督(68)から「せっかくの甲子園。楽しまなくちゃ」と言われたとおりの気持ちになれた。「帰ったらおいしいお肉が食べたい。きょうは食事がのどが通りそうです」。勝利の味をかみしめながら、今夜は夕食を笑顔いっぱいに味わえそうだ。【平山連】
◆日大三のVアーチ 日大三・田中諒が勝ち越し本塁打。これが勝利打点となった。日大三の甲子園での本塁打は春夏通算38本目(春11本、夏27本)だが、夏の大会で勝利打点付きのVアーチは01年3回戦(対日本航空)の原島正光、11年決勝(対光星学院)の高山俊に次いで3本目。2年生のVアーチは同校の春夏を通じ初めて。