東海大熊本星翔対北海 東海大熊本星翔に敗れた北海ナインはあいさつをかわしベンチに戻る(撮影・上山淳一)

<全国高校野球選手権:東海大熊本星翔10-7北海>◇11日◇1回戦◇甲子園

全国最多を更新する2年ぶり41度目出場の北海(南北海道)が東海大熊本星翔に7-10で敗れ、初戦で姿を消した。7回に4失策するなど、計5失策の守備のミスが失点につながった。メンバー唯一の1年生で先発した森健成投手ら、1、2年生7人が出場。3回戦に進出した前回出場の23年に続く初戦突破は逃したが、来年以降に聖地を経験した選手たちへ初の日本一挑戦を託す。

   ◇   ◇   ◇

北海が守備のミスに泣いた。熱中症対策で帽子やアンダーシャツなどを白色に変更した“甲子園スタイル”で登場したナインは、ユニホームを泥だらけにして最後まで白球を追った。試合後、涙を流しながらも懸命に主将としての最後の仕事を果たそうとした佐藤瞭磨外野手(3年)は「キャプテンとしてチームを勝たせられなかった。自分の実力、責任なのかなと思う」と悔しさをにじませた。

守りからリズムを作る野球を目指す北海らしさを大舞台で発揮できなかった。3-3の同点で迎えた7回は1イニング4失策で一挙6失点で勝ち越しを許した。雨によって難しいグラウンド状況、勝利へのプレッシャー。今夏無失策だった遊撃手の吉井天星内野手は2失策と、いつも通りのプレーを見せられなかった。3月に病気で亡くなった母園子さんからの手紙入りのお守りをポケットに忍ばせて試合に臨んだが「自分の思うようなプレーができなかった」と振り返った。

3年生は1年春から全道優勝を経験し、決勝進出を逃したのは1度のみ(2年夏)という強さを見せた世代だった。昨秋から5度の右肩脱臼を乗り越えながらチームをまとめた佐藤は、中学の卒業式でピアノの伴奏を務めた腕前の多才な主将だった。「勝ってもっとみんなと野球がしたかった」と、高校野球との別れを惜しんだ。3番手で救援し、2回0/3で4安打6失点(自責1)だったエース浅水結翔投手(3年)は「この経験を生かして、また春と夏の甲子園に行って欲しい」と、後輩たちへエールを送った。

下級生は5人が先発に名を連ね、途中出場を含めて7人が聖地の土を踏み、3投手がマウンドにも立った。メンバー唯一の1年生の右腕、森は先発に抜てきされ、自己最速を3キロ更新する147キロを連発。3回4安打2失点だった。「自分たちの代でしっかり結果を残す。北海道、世代を背負う投手になりたい」と聖地でのリベンジを誓った。聖地で過ごした41度目の北海の夏が終わった。【保坂果那】

○…背番号11の松田収治投手(3年)が聖地のマウンドに舞い戻った。7回途中から4番手として今夏初登板。24年センバツの大阪桐蔭戦で先発して以来の甲子園だった。今春の全道後に肋骨(ろっこつ)を疲労骨折した影響で今夏の地区ではメンバーを外れた。南北海道大会から復帰するも出番はなく、全国での出番に全力投球した。この日は最速147キロをマークし「甲子園の力、雰囲気が大きかった」とほほ笑んだ。

▽北海・平川敦監督(54) (2年ぶりの2回戦進出を逃し)「ミスですね。そこに尽きる。大体負ける時は四球と失策。それを防ぐことが一番勝利に近い」

▽北海・桜井悠也内野手(3年) (大阪出身で2安打2打点)「家族や親戚がいっぱい集まった前で打てたのは良かった。相手は無失策で、自分たちが5失策してしまった。本来守備からリズムを作るのが、今日そういうことできなかったのが課題」

情報提供元: 日刊スポーツ
記事名:「 【甲子園】北海が守備のミスに泣く 7回に4失策で一挙6失点 佐藤主将涙「自分の実力、責任」