【阪神】佐藤輝明が球団40年ぶり30号「ひとつ目標だった」大台到達の裏にある三振との向き合い方
<阪神1-3ヤクルト>◇8日◇京セラドーム大阪
虎の主砲が球団史に新たな歴史を刻んだ。阪神佐藤輝明内野手(26)が4回に2試合連発となる30号ソロを右翼席に運んだ。両リーグでぶっちぎりの一番乗りの大台クリア。球団の生え抜きでは、日本一になった85年の掛布雅之、岡田彰布以来、40年ぶりの数字だ。この日は新イベント「TIGERS B-LUCK DYNAMITE SERIES」を開催。黒虎となった背番号8が襲いかかった。チームは後半戦初の連敗。優勝マジックも31と減らず足踏みとなった。
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球場中の阪神ファンが総立ちとなった。佐藤輝は振り抜いた右手を高く突き上げながら、確信弾を見送った。今季30号。プロ5年目で初の大台に乗せた。ひときわ大きな歓声を全身に浴びながら、ゆっくりとダイヤモンドを1周した。
「自分の中で30本というのはひとつの目標だったので。うれしいです」
0-0の4回2死。3-1から先発高梨の浮いた134キロフォークを完璧に捉えた。74打点とともに、両リーグトップを独走する先制の1発。右翼手もすぐに追うのをやめる特大弾だった。球団生え抜きでは85年の岡田彰布、掛布雅之以来となる30号。91年オフに甲子園からラッキーゾーンが撤去されて以降では、球団生え抜き初の快挙となった。
今季は破竹の勢いで本塁打を量産している一方で三振数も両リーグ断トツの119個まで積み上がっている。だが、自身は気にしていない。ホームランバッターとしての誇りがあるからこそ、三振も恐れず受け入れている。
「長打を打つには、ある程度強いスイングをしなきゃいけない。そこはトレードオフ。あまり長打を打たない選手は当てにいって打率を稼ぐのも1つの手だと思うけど。状況によって違う時もあるけど、基本的に、やっぱり長打というのがあるので」
三振は豪快な打撃の代償。空振りを恐れないフルスイングが、40年ぶり大台達成の基盤となっている。
復刻されたブラックユニホームを身にまとって戦った初戦。モチーフとなった「ダイナマイト打線」をほうふつさせる豪快な打撃を披露した。8月に入ってからは、7試合目で早くも4発目。本拠地甲子園を離れた戦いが続く中、疲れを感じさせない打撃が続いている。
30発は開幕前から目標のひとつとして掲げていた数字だった。まだ40試合以上を残し、自ら課したノルマを達成。シーズン42本の量産ペースだ。今後の目標については「1打席1打席頑張ります。それだけです」とキッパリ答えた。先を見すぎることなく、目の前の1打席に集中。歓喜の瞬間まで気は緩めない。【波部俊之介】
▼佐藤輝が5年目で初のシーズン30号。阪神で両リーグ30号一番乗りは10年ブラゼル以来6人、7度目で、日本人では74、75年田淵、82年掛布に次いで43年ぶり3人、4度目になる。佐藤輝は10、20号も両リーグ一番乗り。10~30号を両リーグ一番乗りで記録したのは21年村上(ヤクルト)以来で、阪神では初めて。
▼現在本塁打リーグ2位は森下(阪神)と牧(DeNA)の16本で、佐藤輝とは14本差。30号到達時に2位と差をつけたのは、66年王(巨人)と2位江藤(中日)の17本差に次ぎ、09年中村(西武)と2位山崎武(楽天)の14本差に並ぶ史上2番目の大差となった。