アルペンスキーのワールドカップ(W杯)で、ミカエラ・シフリン(27)=米国=が女子歴代最多優勝記録を更新した。今月8日に歴代1位だったリンゼイ・ボン(米国)に並び、24日にイタリアのクロンプラッツで行われた大回転で通算83勝目を挙げ単独トップに。偉業達成直後のインタビューでは「今は何と言っていいのか分からない」と感激の様子だった。 2012年12月に17歳でW杯初勝利。男女通じて最多の51勝を誇る回転を最も得意とするが、滑降などの高速系種目でも優勝経験がある。勝利を積み重ねるペースは33歳で82勝目を挙げたボンを上回り、25日の大回転で今季10勝目、通算84勝目。5度目の総合優勝に向け、首位を快走している。 14年ソチ五輪の回転、18年平昌五輪では大回転で金メダルに輝いた。20年に父親を亡くし、22年北京五輪では得意の回転、大回転とも完走できない失意も味わったが、「残りのキャリアは途中棄権しない」。不屈の精神で競技を続けてきた。 今やスキー界を代表するスーパースターだが、自身を支えるチームやファンだけでなく、コース整備をする関係者らへの気遣いを忘れない。24日のレース後は、自身のツイッターにこう記した。「大好きな人たちとお祝いができて感謝している」 インゲマル・ステンマルク(スウェーデン)が持つ男女を通じた最多記録の通算86勝にも、あと2勝。ロイター通信によると「その名前には数字以上の意味がある。私が何を成し遂げようと、彼はスキーの絶対的レジェンド」と謙虚に語った。先人に敬意を表しながら、新記録に挑む。 (時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕アルペンスキーのW杯で通算84勝目を挙げ、表彰台上で喜ぶシフリン=25日、イタリア・クロンプラッツ(AFP時事) 〔写真説明〕アルペンスキーのW杯で大回転に臨むシフリン。女子歴代単独最多の83勝目を挙げた=24日、イタリア・クロンプラッツ(AFP時事)