3敗でトップを守り、初優勝へ前進した琴勝峰。賜杯への思いをたびたび尋ねられると、23歳の若武者は「取組だけに集中する」と質問を遮った。千秋楽は埼玉栄高の先輩に当たる大関貴景勝との相星決戦。ざわつく心中を静めているようだった。 馬力自慢の大栄翔との一番。相手の圧力を柔らかい身のこなしでいなしてかわす。右で上手を引くと、体を密着させて土俵の外へ追いやった。 「余計な力を入れずに踏み込めた」と本人が言えば、師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)も「落ち着いて相撲を取っている。うまくまわしを引いて攻めた」と納得の様子。気負うあまり、心身とも硬くなることがこれまでの課題だったが、今場所は力みが見られない。「変えたのは意識の持ち方だけ」と琴勝峰。心と体がかみ合うようになり、理想の取り口に近づいているのだろう。 千秋楽に向け、「後悔のないように取りたい。気持ちをつくっていく」と闘志をたぎらせた。初土俵から3年足らずの2020年7月場所で新入幕を果たし、3場所連続の勝ち越しで幕内上位まで番付を上げて期待を集めた。一気に高い壁を乗り越えてしまいそうな力強さを感じさせる。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕琴勝峰(左)は寄り切りで大栄翔を破り、3敗を守る=21日、東京・両国国技館