身長は166センチと小柄だが、グラウンドで躍動する姿は存在感がある。中日の新人合同自主トレーニング2日目。立浪和義監督の印象に残ったのは、ドラフト6位の田中幹也内野手(亜大)の守備練習だった。「身のこなしが素晴らしい。プロに負けないレベル」 50メートル走5秒9の俊足で、野球センスあふれる右打者。大学4年春には東都リーグ記録に並ぶ1試合6盗塁をマークし、主将としてリーグ、全日本大学選手権優勝に導いた。 実力は十分だが、大学3年夏に難病の潰瘍性大腸炎と診断され、長期入院を経験したことが影響して6位まで残っていた。中日は、生でプレーを見て高評価していた立浪監督の「いきましょう」という一声で指名に至った。監督は常に声を出すなどの姿勢も買っており、「中日の雰囲気を変えてくれる選手」と評す。 背番号が2になったのも期待の表れ。名手だった荒木雅博内野守備走塁コーチの現役時代と同じ番号で、幼少期から憧れていたという田中は「本当に良い番号。見合うような活躍ができれば」。1年目は30盗塁を目標に掲げる。 レギュラー不在の二塁は、2位指名の村松開人(明大)らを含めた新人の競争となる。「誰にも負けないようにやっていきたい」と田中。病気を克服した精神力の強さも売りの一つ。小さな体には魅力が詰まっている。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕中日の新人合同自主トレーニングで練習するドラフト6位の田中=9日、名古屋市中川区