23歳の琴勝峰に一気に殻を破る気配が漂ってきた。幕内では自身初めて1敗で折り返す上々の成績。千代丸を下した一番も、今後に向けて弾みがつく内容だった。 普段はあまり見せないもろ手で当たった。「先手を打とうと思ったから。作戦通り」。タイミング良くいなして相手の体勢を崩すと、休まずに土俵の外へ追いやった。 初土俵から3年足らずの2020年7月場所で新入幕。そこから3場所連続で勝ち越して幕内上位まで番付を上げた。ホープとして期待されたが、右足首のけがにも悩まされ、十両転落も経験。同じ1999年度生まれの豊昇龍や王鵬に追い抜かれた。悔しさはもちろんあるはず。所属する佐渡ケ嶽部屋で指導する粂川親方(元小結琴稲妻)も「いいかげん低迷するのではなく、上がっていってほしい」とハッパを掛ける。 白星を重ねていけば、番付上位との対戦も組まれるだろう。「落ちていかないように一日一番、体をいいところに持っていけるように頑張りたい」。年男。卯(う)年の一年で大きく飛躍したい。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕千代丸(左)の背中を取る琴勝峰。押し出しで7勝目=15日、東京・両国国技館