よく伸びる腕に、大栄翔の好調ぶりがうかがえる。鋭く当たって押し込み、素早い佐田の海が回り込もうとするのを許さない。一気に土俵下へと吹っ飛ばし、「立ち合いから流れが良かった」と声を弾ませた。 3日目の貴景勝戦こそ、激しい攻防の末に土俵際で逆転を許したが、持ち味を存分に生かして6勝目。「勝っていることで自信がつき、思い切り取れているのは間違いない」と手応えを感じている。 重い突き押しを武器に、2年前の初場所で初めて賜杯を抱いた。今場所は、その時をほうふつとさせる攻めっぷり。「冬場の方が季節的に好き」。寒い方が体が動くという。大関候補の豊昇龍ら4関脇をいずれも倒し、優勝経験者としての存在感を示している。 昨年5月の夏場所を最後に勝ち越しがなく、5場所ぶりに平幕に落ちて臨む今場所。今年の11月には30歳になるだけに、体力面で年齢による衰えを感じることもあるそうだが、「上を常に目指してやろうかなと思っている」。待ち望んだ季節で、実力者が本領を発揮している。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕大栄翔(左)は佐田の海を押し倒しで下す=14日、東京・両国国技館