マスク着用で声援も送れるようになった今場所。2日続けて「満員御礼」の垂れ幕が下りた館内をひときわ沸かせたのは、豊昇龍の豪快さだった。 新小結の琴ノ若との一番。頭から当たって踏み込む。攻め切れずに土俵際で右四つに組み止められたが、足腰の良さも生かし、出てくる相手を下手から投げ捨てた。 61年ぶりの4関脇4小結。三役以上では、早くもただ一人の土つかずとなった。八角理事長(元横綱北勝海)は「期待はずっとしている。体がそんなに大きいわけではないから、もっと厳しい相撲を取らないといけない」と注文。大関候補だけに、求めるハードルも自然と高くなるのだろう。 昨年11月の九州場所は三役昇進後で初めての2桁白星となる11勝。優勝争いをけん引しながら、12日目からの3連敗で悔しい思いをした。その雪辱も期す中、「注目してくれる人がたくさんいるので、恩返ししたい」と意欲も増している。 昨年は負け越し知らず。今年は全6場所で2桁白星を狙う。飛躍の1年とするためにも、まずは年始めの場所で存在感を示したいところだ。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕豊昇龍(右)は下手投げで琴ノ若を下す=9日、東京・両国国技館