プロボクシングのバンタム級世界4団体統一王者の井上尚弥(大橋)が挑戦するスーパーバンタム級では、2人の無敗王者がタイトルを分け合っている。実現は不透明な状況だが、両王者とのビッグマッチへ期待は膨らんでいる。 世界ボクシング評議会(WBC)、世界ボクシング機構(WBO)統一王者のスティーブン・フルトン(米国)は、パワーこそないが高い技術を誇り、戦績は21戦全勝(8KO)。「リングIQ(知能指数)」の高い選手と言われる。 世界ボクシング協会(WBA)、国際ボクシング連盟(IBF)統一王者のムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)は、2016年リオデジャネイロ五輪バンタム級銅メダルの実績を持つサウスポー。戦績は11戦全勝(8KO)で、昨年4月にはIBF暫定王者の岩佐亮佑(セレス)を5回TKOで退けた。岩佐を指導する小林昭司会長は「パンチ力がある。足も使えるし何でもできる」と高く評価する。 ただ、フルトンは近く1階級上のフェザー級に移る可能性があるという。米専門誌リングによると、アフマダリエフは6月に左拳を骨折。IBFからは指名試合も課されている。 障壁はあるものの、軽量級屈指の好試合が見込めることは確か。リング誌のダグ・フィッシャー編集長は、井上尚が珍しくダメージを負い判定までもつれ込んだ19年11月のノニト・ドネア(フィリピン)戦を引き合いに「2人の王者はドネア戦と同じような苦難を強いることができると思う」と語る。井上尚も望む緊迫した戦いが繰り広げられるだろう。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕プロボクシングのWBA、IBFスーパーバンタム級世界王座を奪取し、喜ぶアフマダリエフ(中央)=2020年1月、米マイアミ(AFP時事)