新庄剛志監督の就任で、日本ハムは昨年オフから大きな注目を集めた。派手なパフォーマンスでも沸かせたスターの球界復帰は、北海道内だけでなく全国的にも関心が高かったはずだが、本拠地最終年だった札幌ドームのにぎわいはいまひとつだった。 新型コロナウイルスの影響で制限の大きかった2020、21年を除き、近年のパ・リーグで日本ハムは上位の観客動員数を記録していたが、客足は遠のいた。 今季は1試合平均1万7937人で、12球団で11番目。開幕直後はコロナの影響で2万人の上限があったものの、平日のナイターでは1万人を割り込む試合もあった。 球団関係者によると、ビッグボスのグッズ販売は好調だった。ただ、チームが低空飛行を続けたままでは、新庄監督の人気だけで観客を呼ぶことはできなかった。監督もホーム最終戦後の取材で「チームが勝っていないとファンが球場に足を運べないと思うので」と話したように、本当に必要なものは何か分かっている。 今季を「成長の一年」として位置付け、新庄監督は、意外な選手起用やリスクを伴う奇策を敢行した。それらは一瞬の話題にはなるかもしれないが、失敗すれば勝利に飢えたファンからのため息が聞こえてきた。 開幕から一度も脱出できずに9年ぶりの最下位に沈み、最終戦セレモニーでは「2位も6位も一緒。日本一だけを目指してぶれずに戦っていく」と巻き返しを宣言した。来季は北広島市の新球場「エスコンフィールド北海道」に移転する大事な一年。「勝利」と「ファンサービス」を期待された監督に、同じ失敗は許されない。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕楽天にサヨナラ勝ちし、喜ぶ日本ハムの新庄剛志監督=4月10日、札幌ドーム