4月10日、ロッテの佐々木朗が強烈なインパクトを残した。 史上最年少の20歳5カ月で、28年ぶり史上16人目となる完全試合を達成。回を重ねるごとに異様な雰囲気となっていく中でのマウンドにも、高卒3年目の右腕は「期待を感じながら投げていたが、そこまで気負わなかった」と冷静だった。 プロ野球新記録の13者連続奪三振、タイ記録の1試合19奪三振もマークして歴史を塗り替えた快投のカギは、今季2戦目までの反省にあった。 開幕カードの3月27日の楽天戦で6回3失点。2度の失点シーンは、いずれも先頭打者に与えた四球からピンチを招いたことが原因だった。強気に勝負した直球のコントロールが乱れた。 木村投手コーチは「速い球にこだわっていた。力を抜いて投げた方がいい」とみていた。初勝利を挙げた4月3日の西武戦でも、カウントが悪い状況で直球に頼る投球が目立っていた。 快挙を演じたオリックス戦の試合前、木村コーチは、ブルペンで佐々木朗が「脱力」を意識している姿を見て、変化を感じ取った。 序盤からアウトを重ね、四回には吉田正に変化球を続けて三振を奪うなど、むやみに直球に頼る投球から脱却した。100球前後に設定された球数制限の中、直球の平均球速は159・8キロと最後まで落ちず、105球で投げ切った。 翌週の日本ハム戦でも八回まで一人の走者も許さない投球を見せるなど、衝撃を残した一年。後半戦はけがで離脱することもあったものの、「開幕前の目標に近いシーズン」と自己評価した。まだまだ成長過程にいる21歳は、来季以降も周囲を驚かせる投球を披露してくれるだろう。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕完全試合を達成し、ウイニングボールを手に喜ぶロッテの佐々木朗=4月10日、ゾゾマリン