勢いそのままにモロッコが新たな歴史を刻んだ。アフリカ勢、アラブ諸国として初めてのベスト4進出。「とても誇り高い。情熱を兼ね備えた素晴らしいチームだ」とレグラギ監督。殊勲の選手たちはお祭り騒ぎのようにピッチではしゃいだ。 ボール支配率は、ポルトガルの61%に対し23%。自陣中央に分厚く築いたブロックは強固で、相手はその外側でボールを回しているだけだから、怖さはない。むしろモロッコの狙い通りに試合は進んでいった。 均衡を破ったのは前半42分。アティアトアラハの左クロスに、ネシリが打点の高いヘッドをぴたりと合わせた。今大会初先発に抜てきされたアティアトアラハは、「最高の結果を得られた。大きな責任と役割があったが、いい気分だった」。 モロッコの強みは、ボールを奪った後にある。ロングボールに頼るなど、守備的なチームにありがちな選択はしない。即時奪回を狙う相手のプレスを恐れずに勇気を持っていなし、広いエリアへ抜け出すと鋭いカウンターを打つ。ポルトガルに対しても2点目を狙える場面を何度もつくった。 今大会の失点はわずか1点と、4強入りしたチームの中で最少を誇る。指揮官が「これは奇跡じゃない」と言うように、伏兵が見せる快進撃には確かな裏打ちがある。 カタールは同じアラブの国とあって、会場はいつもホームのような大歓声に包まれる。アティアトアラハは「僕らは家族のようなもの。自分たちの力を、スキルを、神を信じた。恐れはない」と自信にあふれる。快挙はまだ続きそうな雰囲気がある。 (ドーハ時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕ポルトガルに勝利し、準決勝進出を決め胴上げされるモロッコのレグラギ監督=10日、ドーハ 〔写真説明〕前半、先制ゴールを決めるモロッコのネシリ(右上)=10日、ドーハ(ロイター時事)