死力を尽くし、4強入りをつかんだアルゼンチンのメッシは、母国の英雄が見守っていると感じていた。「ディエゴは天国から僕らを見て、後押ししてくれる。この状態が最後まで続くことを心から願っている」。2年前に死去したマラドーナさんへの感謝を口にした。  オランダとの熱戦を制したチームを支えたのは、魔法のようなエースの左足だった。0―0の前半35分。敵陣でフェイントを入れながら右から中央へドリブルで攻め上がり、相手守備の注意を引いた。絶妙なタイミングでDFの股下を通して、6人そろっていた相手守備陣の奥へボールを供給。モリナの先制点をアシストした。  1―0の後半28分には、味方が倒されて得たPKをゴール右へ決めた。節目のW杯通算10点目で、バティストゥータが持つ母国の歴代最多得点に並んだ。今大会4得点2アシスト。別次元のプレーで次々と得点に絡んでいる。  後半ロスタイムに同点弾を許すまさかの展開。延長でも決着がつかず、2大会前の準決勝と同じPK戦にもつれ込んだ。重圧のかかる1番手。先蹴りの相手が外した後、きっちりと決めて勝利を呼び込んだ。アルゼンチンはW杯通算6度目のPK戦を制し、史上最多となる5勝目となった。  仲間、サポーターと応援歌を大合唱した後、ピッチに座り込んだメッシは「胸のつかえが取れた。準決勝への道を切り開くことができた」。最後と位置付ける自身5度目のW杯。準決勝は同じくPK戦でブラジルを破ったクロアチアとぶつかる。マラドーナさんが活躍して優勝に導いた1986年大会以来の頂点へ。もう一人の「神の子」が着実に歩を進めている。 (ルサイル時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕後半、PKを決めたアルゼンチンのメッシ=9日、ルサイル 〔写真説明〕前半、ヘディングするアルゼンチンのメッシ(上)=9日、ルサイル 〔写真説明〕前半、シュートするアルゼンチンのメッシ(左)=9日、ルサイル
情報提供元: 時事通信社
記事名:「 2得点生んだ魔法の左足=メッシ、母国の英雄に感謝―W杯サッカー・アルゼンチン