阪神は開幕9連敗を喫したことが響き、一度も優勝争いに絡むことなく3位に終わった。つまずきの最大の要因は、新外国人ケラーの状態の見極めに失敗したことだった。 昨年オフに、2年連続セーブ王だったスアレスが退団。後継の守護神候補としてケラーを獲得した。しかし、当時は新型コロナウイルス対策の入国制限のため来日のめどが立たなかった。 春季キャンプ終了後の3月6日に入国がかなったが、既に開幕まで3週間を切っていた。「間に合ってくれたら最高だけど、コンディションと相談してから」(矢野監督)。調整の時間を与えるため、開幕からしばらくは岩崎に九回を任せることも考えていた。 最速99マイル(約159キロ)を投げるという触れ込みのケラーだったが、オープン戦では直球の大半が140キロ台。それでも開幕前の実戦4試合全てで無失点だったことから、首脳陣はケラーを抑えに決めた。 決断は裏目に出た。3月25日のヤクルトとの開幕戦。1点リードの九回に登板すると、2本塁打を浴びて3点を失い逆転を許した。ここからチームの連敗が始まる。開幕4試合目の広島戦でも1点リードの九回に登板したが、敗戦投手になった。結局、矢野監督は「状態的にまだしんどい」と抑えの座を剥奪し、2軍に落とした。 ケラーは6月に再昇格。開幕直後とは別人のように球威が増していた。その後は32試合に登板し、失点したのは4試合だけ。実力はあるだけに、調整不足の状態でストッパーを任せた判断が悔やまれた。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕開幕戦で抑えに失敗した阪神のケラー=3月25日、京セラドーム大阪