王者フランスから勝利を挙げても、チュニジアの選手に笑顔はない。カドリ監督は「歴史的な勝利だが、最大の目標は決勝トーナメントだった」。6度目のW杯でも、16強には届かなかった。 メンバーを落としてきたフランスに重圧をかけ続けた。開始早々に左サイドのFKからゴールネットを揺らすも、オフサイドの判定。それでもチームは一気に勢いづいた。後半13分には中盤で奪ったボールを受けたハズリが中央を突破。ドリブルで2人をかわし、最後は体勢を崩しながら左足でゴール右隅に決めた。 その後は5バックにして相手の猛攻をしのいでいたが、後半ロスタイムにオーストラリアの勝利が分かった。勝ち点で届かずD組2位以内の可能性が消えると、ベンチのメンバーは試合中にもかかわらず頭を抱えた。 1月にアシスタントコーチから昇格したカドリ監督は、低迷していたチームを立て直した。W杯では12度目の挑戦で欧州勢から初勝利。決勝トーナメント進出こそかなわなかったが、爪痕は残した。「サポーターに幸せを届けられた。われわれは最後の最後まで戦った」。指揮官は選手たちに最大の賛辞を贈った。(アルラヤン時事)。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕フランスに勝利するも、1次リーグ敗退が決まり引き揚げるチュニジアの選手ら=11月30日、アルラヤン 〔写真説明〕前半、指示を出すチュニジアのカドリ監督=11月30日、アルラヤン 〔写真説明〕後半、試合を見詰めるチュニジアサポーター=11月30日、アルラヤン