コスタリカ戦から9時間後。E組のもう1試合、スペイン―ドイツは引き分けに終わった。結果論ではあるが、コスタリカに勝っていれば、一番乗りの前回王者フランスに続く決勝トーナメント進出が決まっていた。  返す返すも痛い敗戦だった。コスタリカの実力を考えれば、最低でも勝ち点1は手にしておかなければならなかった。優勝4度を誇るドイツを2―1で破った歴史的快挙が、一気にかすんだ。  目が向くのは、ドイツ戦から先発5人を入れ替えた森保監督の采配。W杯アジア最終予選でも、勝ち続けている時には大幅な変更をしなかった指揮官の決断には、相当な覚悟と理由があったのだろう。試合後も「全く後悔していない」と断言した。  勝ち切れなかった二つの経験が、頭の中にあったのではないか。コーチとして参加した前回ロシア大会のベルギー戦と、監督として臨んだ昨夏の東京五輪だ。  いずれも連戦の疲労を回復し切れずに決戦に挑み、4年前はベスト8、昨年はメダル獲得の夢が散った。特に五輪では猛暑と中2日の過密日程の中、主力を入れ替えられないまま決勝トーナメント以降は2敗1分け(引き分けはPK戦勝ち)と失速した。  指揮官は「もともと、3試合を通して1次リーグ突破をする戦いと思っていた。次に向けて勝つための準備をしていく」と一喜一憂していない。  ドイツ撃破によって、求められるものがより大きくなった形だが、2戦を終えて勝ち点3の状況は、本来の想定内とも言える。スペインに勝てば、自力で突破できる状況にある。相手はドイツ戦で世界屈指のハイテンポな戦いを見せた。厳しい戦いになるのは間違いないが―。  1勝2敗と出遅れながらもアジア最終予選を勝ち抜いたように、窮地で力を発揮してきたのも森保ジャパンの強み。「もう一回立ち上がらないといけない」とは吉田主将(シャルケ)。4年で積み上げた総力と結束が問われる。 (ドーハ時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕コスタリカ戦で指揮を執る森保監督=27日、アルラヤン 〔写真説明〕コスタリカ戦の後半、相手に先制ゴールを許し、肩を落とす吉田(左から2人目)ら=27日、アルラヤン
情報提供元: 時事通信社
記事名:「 入れ替え策、奏功するか=吉田「もう一回立ち上がる」―W杯サッカー・日本代表