6失点で大敗したイングランド戦から中3日。イランは攻め続けて土壇場で2点を奪った。その戦いぶりは全く見違えるものだった。 初戦で負傷交代したGKベイランバンドを含め、スタメンを5人変更して臨んだ。立ち上がりに出足の鋭いプレスをかけると、前半15分すぎ。敵陣で奪ったボールを中央でパス交換し、ゴリザデがネットを揺らした。オフサイドで取り消されたが、勢いは確かについた。 ウェールズの屈強なDF陣に対し、エース、アズムンのスピードを生かした速攻が有効だった。その形から後半早々に絶好機が訪れる。アズムンが裏へ抜け出し、右足を振り抜くと右ポスト直撃。直後のゴリザデのミドルシュートも再び枠に嫌われた。 それでも前線の人数を増やして前に出る。攻めの姿勢が最後の最後で実った。終盤、相手GKを一発退場に追い込んで1人多い状況をつくる。ロスタイムに相手のクリアを拾ったチェシュミが低い弾道で放ったシュートがゴール右に突き刺さり、均衡を破った。さらにカウンターからレザイアンが追加点。イランサポーターの鳴り物と声援は最高潮に達した。 ケイロス監督は「負けると自信がなくなる。きょうは立ち直る機会だった。勝ち点3を取っただけで、まだ終わりじゃない」と先を見据えて引き締めた。負けられない状況で精神面も立て直し、初の決勝トーナメント進出へ望みをつないだ。 (アルラヤン時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕後半、先制ゴールを決めるイランのチェシュミ=25日、アルラヤン 〔写真説明〕後半、シュートを放つイランのアズムン(左)=25日、アルラヤン 〔写真説明〕後半、競り合うウェールズのロドン(右)とイランのタレミ=25日、アルラヤン 〔写真説明〕後半、競り合うイランのプーラリガンジ(左上)とウェールズのN・ウィリアムズ(左下)=25日、アルラヤン