終盤戦。貴景勝がじわじわと存在感を発揮し始めた。2敗のトップに並んでいた関脇豊昇龍を引きずり下ろして3敗を堅持。優勝争いに踏みとどまり、大関としての意地を示した。 相手の変化も想定していたのだろう。よく見て立った。いなしを交えながら突き起こし、攻め続けた。中に入らせず、左の押しでとどめ。「始まったら覚えていないが、集中してやった」。普段と変わらず、淡々と振り返った。 両膝の手術を受けた横綱照ノ富士は休場。正代の大関陥落が決まり、御嶽海も2桁白星がならず、1場所で大関に復帰できなかった。番付の秩序が揺らぐ中、看板力士として土俵を務める。 昨年に首を痛めた影響もあり、当たりの威力がやや落ちた感もあるが、「それと成績は比例しない」ときっぱり。持ち前の負けん気の強さが満身創痍(そうい)の体を支えてきた。 残り2日。「一生懸命やることがつながってくる。しっかり準備する。それだけを考えてやっている」。無心に、逆転優勝を目指す。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕貴景勝(左)は豊昇龍を押し出しで下す=25日、福岡国際センター