持ち前の圧力が際立っている。高安が小結玉鷲を力強く撃破。序盤戦を1敗で乗り切り、「悪くないと思う」と手応えを口にした。 9月の秋場所では1差で玉鷲を追って千秋楽で直接対決に臨んだが、立ち合いで力負けして優勝決定戦に持ち込めなかった。しかし、この日は先場所とは逆の右からかち上げ、相手の出足を止めた。左を差し、右で上手もつかむと盤石の形で寄り切り。「しっかり当たって、左が入った」。借りを返した一番に納得の表情だった。 10月の秋巡業終盤に右足を痛めて休場。初日の若隆景戦の後も右足を気にするそぶりを見せるなど、まだ万全ではなさそうだ。それでも「土俵に上がったらベストを尽くすだけ」。3日目の貴景勝、前日の豊昇龍と上位陣を次々と圧倒。32歳が積み上げてきた稽古の貯金が物を言っている。 横綱不在の場所は既に勝ちっ放しがいなくなり、混戦に拍車が掛かっている。土俵下の藤島審判長(元大関武双山)は「高安あたりが元気だからね」。元大関の実力者。存在感がじわじわと大きくなってきた。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕高安(左)は寄り切りで玉鷲を破る=17日、福岡国際センター