サッカーのワールドカップ(W杯)で使用される公式試合球は1970年メキシコ大会以来、大会ごとに変わってきた。20日に開幕するカタール大会の使用球は「アルリフラ」。スポーツ工学を専門とする筑波大の浅井武名誉教授(66)によると、前回ロシア大会の「テルスター18」よりも飛びやすく、曲がりやすい特性がある。 過去2大会はボールを覆うパネルが6枚だったのに対し、今回の公式球は大小2種類による20枚で構成される。表面に施された凹凸も特徴的だ。 浅井氏は風洞実験でボールの軌道や空気抵抗などを分析。過去大会のボールと比較した結果、アルリフラはパスやシュートなど最も広範囲の速度領域で空気抵抗を受けにくい傾向が見られた。「わずかな差だが、空気抵抗の低い範囲が広がっている。それだけ飛びやすい」。また、カーブのかかりやすさに関しても「スピンをかけたときに曲がり幅が少し大きくなる」という。 日本国内ではW杯に先立って5月からJリーグ、ルヴァン杯の試合球として使用。実際にボールを蹴っても飛びやすさは実感できるようで、相馬(名古屋)は「芯に当たればボールが伸びていく印象」と話す。 大会を戦う上で試合球への適応は重要な要素。より飛び、曲がるボールは攻撃側に優位に働きそうで、浅井名誉教授も「シュートレンジを広げるのが得策だろう」とみる。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕W杯カタール大会の公式試合球「アルリフラ」(AFP時事) 〔写真説明〕国際親善試合のエクアドル戦、相手選手と競り合う相馬(中央)=9月27日、ドイツ・デュッセルドルフ(EPA時事)