関脇になって5場所目。一つ上の番付に向け、地道に進んできた歩みを象徴するかのように、若隆景がじっくりと攻め、初白星を挙げた。 この1年で1勝5敗だった霧馬山との一番。合口は悪いが、「しっかり自分の相撲に集中した」。はたきに落ちずに頭をつけ、左で上手を引いて体勢を整える。根負けした相手が差し手を抜いたところ逃さずに寄り切り。八角理事長(元横綱北勝海)は「慎重に取っていた。強引に出ず、攻めの相撲だからよかった」と取り口を褒めた。 9月の秋場所は11勝したものの、初日からの3連敗が悔やまれた。新関脇で初優勝した3月の春場所の後の3場所は、いずれも序盤の5日間で黒星が先行。滑り出しが課題と言えただけに、2日目に苦手を倒した意味は大きい。 好成績を挙げれば、大関昇進の機運もおのずと高まるだろう。「上を目指すには2桁(白星)というのが重要。そこを目標にやっていく」。そう誓った今場所は始まったばかり。「いい相撲だった」と納得した内容を勢いに変えたいところだ。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕若隆景(左)は寄り切りで霧馬山を下す=14日、福岡国際センター