明らかに嫌な流れだった。横浜Mは前半終了間際に追い付かれ、後半の立ち上がりには神戸の大迫に危ない位置からフリーでシュートを打たれる。GK正面に飛び、事なきを得るとその直後だった。 左サイドで得たFKから西村が押し込んだ。今季幾度もあった、劣勢の空気を一変させるゴール。主導権を握り返した。これまでも大事な試合で活躍してきた水沼は全3得点に絡み、試合終了の瞬間、ベンチで泣き崩れた。「諦めずにやってきてよかった。何とも言えない感情がこみ上げた」 優勝目前で下位相手に今季初の連敗を喫し、8あった川崎との勝ち点差は2に。重圧がかかったが、西村は「自分たちにベクトルを向けていたからこそ優勝できた。みんなの力だし、自分も成長できた」。気持ちの強さが増し、チームに持ち前の激しさと攻守の切り替えの早さが戻った。最後は連勝で決めた。 喜田主将に始まり、右膝の大けがで離脱している宮市、水沼、マスカット監督と続けてシャーレを高々と掲げ、敵地に駆けつけたサポーターと喜びを爆発させた。勝利だけを目指し、自らの手でつかんだタイトル。「攻撃的な自分たちのサッカーを見せた中で取った結果。選手たちを誇りに思う」と指揮官。ぶれることなく戦った一年は、最高の形で締めくくられた。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕3年ぶり5度目の優勝を決め、喜ぶ横浜Mのマスカット監督(手前中央)ら=5日、ノエスタ 〔写真説明〕3年ぶり5度目の優勝を決め、喜ぶ横浜Mの選手ら=5日、ノエスタ