フェンシング男女6種目の全日本選手権決勝が5日、東京・LINE CUBE SHIBUYAで開催される。女子で唯一、東京五輪代表同士の顔合わせなのがフルーレで、上野優佳(中大)と辻すみれ(大垣共立銀行)が対戦する。ともに2度目の優勝を懸け、上野が勝てば連覇、辻なら3年ぶり。来年から始まるパリ五輪予選へ、日本一の称号を得て弾みをつけたいところだ。 東京五輪6位の上野は日本のエース格。日本代表の青木雄介監督は「剣の速さ、強さには舌を巻く。普通じゃない」と感嘆し、日本勢でパリ五輪の個人戦メダルに最も近い選手の1人に挙げる。 4月に左足首靱帯(じんたい)を断裂し、回復が十分ではない中で決勝まで順当に勝ち上がった。「世界で戦っている身としては決勝進出はしないといけない。下の子たちがすごく育っているので負けていられない」。20歳の若さながら言葉には風格も感じられる。 22歳の辻は団体戦に出場した東京五輪後、痛めていた股関節を手術。全日本選手権準決勝まで日本代表の実力者を連破し、復活を印象付けた。「五輪の頃は股関節が痛くて踏み込めなかったが、相手の懐に入る技ができるようになった」と実感し、「挑戦する気持ちを忘れず、自分らしい試合がしたい」と意気込む。 上野がスピードと攻撃力で上回り、辻は堅守とカウンターが真骨頂。プレースタイルは対照的で、どちらが得意の形を出せるかが見どころだ。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕全日本フェンシング女子フルーレ準決勝で宮脇花綸に勝利し、決勝進出を決めた辻すみれ=9月10日、東京・駒沢体育館 〔写真説明〕全日本フェンシング女子フルーレ準決勝で狩野央梨沙に勝利し、決勝進出を決めた上野優佳=9月10日、東京・駒沢体育館