1点差で迎えた九回2死。5番手のワゲスパックが最後の打者を空振り三振に仕留めると、マウンド上で歓喜の輪ができた。オリックスが1996年以来となる26年ぶりの日本一。昨年は目の前で胴上げを許したヤクルトに雪辱し、中嶋監督が敵地の宙に舞った。 先発の宮城は中4日を感じさせない力投。「この球があるから他の球も生きる」と話す100キロ前後のカーブを効果的に使い、5回無失点と役割を果たした。黒星を喫した第3戦の借りを返し、「立ち上がりは緊張したが、何とか粘り切れた」と一息。六回以降は追いすがる相手の反撃を必死の継投でしのいだ。 嫌なムードをはねのけた。第1戦で山本が左脇腹を負傷。エースで初戦を落とす予期せぬ幕開けとなった。その後は大黒柱を欠く戦いを強いられたが、第6戦で勝利投手になった山崎福は「チームはいつも(山本)由伸に頼っている。周りで何とかカバーして日本一になりたい」と意地を見せた。シーズン同様に全員で戦い抜いた。 2敗1分けで迎えた第4戦から一気の4連勝で頂点まで駆け上がった。「選手全員で勝ち取った優勝だと思う」と中嶋監督。リーグ連覇、そして日本一を掲げてスタートしたシーズンは最高の結末を迎えた。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕日本シリーズを制覇し、歓喜のオリックスナイン=30日、神宮 〔写真説明〕5回、2死一、三塁のピンチを抑え、喜ぶオリックス先発の宮城=30日、神宮