55年ぶりの箱根路へ―。来年1月2、3日の東京箱根間往復大学駅伝競走に、立大が1968年以来となる出場を決めた。2024年の第100回大会出場を目指し、大学側が掲げてきた「箱根駅伝2024」とのプランを1年前倒しで実現。再建を託された上野裕一郎監督(37)の指導下、半世紀以上も遠ざかっていた晴れ舞台に復帰する。 今月15日に東京都立川市で行われた予選会は、ハーフマラソン(21.0975キロ)のコースに43チームが参加。各チーム上位10人の合計タイムで争った。箱根の切符を得られるのは10位まで。立大は6位に食い込み、上野監督は「選手たちがつらい練習をしっかりやってくれた」と涙を流した。 上野監督は駅伝の強豪、長野・佐久長聖高から中大に進み、箱根駅伝では区間賞も獲得。卒業後は実業団のエスビー食品(現DeNA)に入り、5000メートルで09年の世界選手権に出場した。予選会でチームトップだった国安広人(1年、兵庫・須磨学園高出)は中学時代、実業団で走る上野監督に憧れを抱いたという。「絶対に箱根に連れていってくれる」との思いで立大への入学を決めた。 現役ランナーとして選手と一緒に練習をこなしている上野監督。国安は「監督の方が速い」と認めつつ、「監督に勝つことが大学で勝負する基準になる」。選手よりも速い監督の存在が、チームの向上心を引き出した。 予選会は2年前が28位、昨年が16位。今年はボーダーライン上と目されていたが、「15キロで45分を切る」を各自の目標とし、序盤から積極的に集団の前方につけた。国安が全体21位。1年時に関東学生連合のメンバーで箱根を経験した中山凜斗(3年、熊本・九州学院高出)、安藤圭佑(2年、愛知・豊川高出)、林虎大朗(2年、福岡・大牟田高出)らも好走した。 1957年の3位を最高に50年代は毎年1桁順位だった立大。駅伝の指導者として、その走力は「日本最速」とも言われる上野監督が率いる今、全盛期を再現させるべく新たな一歩を踏み出す。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕箱根駅伝予選会を通過して本大会出場を決め、記念撮影する立大の選手ら=15日、東京・国営昭和記念公園 〔写真説明〕箱根駅伝予選会で力走する立大の国安広人=15日、東京・国営昭和記念公園 〔写真説明〕箱根駅伝本大会出場を決め、報道陣の質問に答える立大の上野裕一郎監督=15日、東京・国営昭和記念公園