アーチェリー男子で1984年ロサンゼルス五輪銅メダル、2004年アテネ五輪銀の山本博(日体大教)が、24年パリ五輪を目指して全日本選手権(22~23日、東京・夢の島公園アーチェリー場)に出場する。31日に60歳の誕生日を迎えるが、5大会ぶり6度目の五輪と金メダルの夢は諦めていない。 全日本で32人による決勝トーナメントに進めなければ、パリ五輪代表選考の前提となるナショナルチーム入りはなくなる。かつては「予選なんて通るのが当たり前」だったが、近年は思うような成績を残せていない。手術の影響もあって20年は72位、21年は52位だった。 アーチェリーは20代で全盛期を迎える選手が多い。山本は老眼や乱視に加えて、集中力の衰えも感じているという。体も悲鳴を上げ、16年には長い競技人生で痛めた右肩を手術。両手がしびれる胸郭出口症候群にも悩まされ、治療のため20年に肋骨(ろっこつ)を切除する手術を受けた。そこで引退を選ばなかったのは、「自分が出したことのある記録の中にまだみんながいる。体さえ治ればついていける」との自負があったからだ。 五輪で銅から20年後の04年に銀を取った際、「あと20年で金を目指します」と宣言した。24年パリでの金メダルが難しい目標であることは理解しているが、「やってみなきゃ分からないのがスポーツ。人は突然強くもなるし弱くもなる。強くなってくれないかなと期待しながら練習している」。正念場の全日本が大きな夢への第一歩になるか。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕栃木国体アーチェリー成年男子準決勝、的を狙う山本博=9日、栃木・那須烏山市緑地運動公園多目的競技場