レスリング女子で五輪連覇を果たし、今年5月に長女を出産した金城(旧姓川井)梨紗子(27)=サントリービバレッジソリューション=がマットに戻ってきた。16日に静岡県焼津市で行われた全日本女子オープン選手権で、昨年の東京五輪以来となる実戦復帰。59キロ級を制し、3連覇が懸かる2024年パリ五輪へ第一歩を踏み出した。 巧みな組み手で主導権を握り、引き落としてから相手の背後を奪う。得意の形で3試合とも得点を与えず、健在ぶりをアピールした。「懐かしい。緊張感も久しぶりで、終わってみると楽しかった」 東京五輪後は引退も考えたが、妊娠中に競技への思いが再燃。6月の全日本選抜選手権では妹で東京五輪62キロ級金メダルの川井友香子(25)=サントリービバレッジソリューション=のセコンドを務め、「試合の緊張感すら恋しくなった」。夫の希龍さんにも意志を伝え、腹を固めた。 6月末に練習を再開。「最初は準備運動もままならないくらい体も変わっていて、不安はあった。出産前とは別の自分だと思い、少しは成長できている」。練習は量より質を意識。周囲のサポートを得ながら、育児と両立させている。 今年の世界選手権で日本勢は若手が台頭。パリへの道は簡単ではなさそうだが、「どの五輪も同じ道のりはない。次のステージまでの道のりがどうなるのか、どんな経験ができるのか楽しみ」。胸を高鳴らせ、12月の全日本選手権から始まる代表争いに挑む。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕レスリングの全日本女子オープン選手権59キロ級決勝で相手を攻める金城梨紗子(上)=16日、静岡県焼津市