ノルディックスキー・ジャンプ男子で50歳の葛西紀明(土屋ホーム)が時事通信などのインタビューに応じ、冬シーズンへの心境を語った。2月の北京五輪は代表入りを逃したが、ワールドカップ(W杯)メンバーへの返り咲きを目指している。「調子を上げたい」と明るい表情で語った。 兼任監督を務める土屋ホームは6月、新コーチを迎えた。1988年カルガリー五輪団体銀メダリストで、強豪の母国スロベニアなどで指導歴があるマティアジュ・ズパン氏。トレーニング方法はユニークで、例えば車輪付きの板に乗り、板が動かないようにスクワットする。そうすると踏み切り台に力をしっかり伝えられるフォームが身に付くという。多彩な練習や熱心な指導ぶりに「あれだけ徹底的にやれば強くなる」と感心する。 まな弟子の小林陵侑は北京五輪の個人で金、銀メダルを獲得し、昨季W杯では2度目の総合優勝を果たした。この夏も好調を維持。師匠は「あれだけ強いとジェラシーを感じる」と、ライバル心をむき出しにする。 ジャンプの本場、欧州で絶大な人気を誇る「レジェンド」。数万人が埋め尽くす欧州の会場を再び盛り上げたい思いがあるから、50歳を過ぎても地道な鍛錬を続ける。「『ノリアキ・カサイ』とアナウンスされて『ワー』っとなる大歓声を、もう1回聞きたい。それが今の一番の目標」と言って、目を輝かせた。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕インタビューに答えるノルディックスキー・ジャンプ男子の葛西紀明=9月23日、東京都江東区