2013年にシーズン60本塁打のプロ野球記録を打ち立てた元ヤクルトのウラディミール・バレンティンさん(38)が、25日までに時事通信の電話インタビューに応じ、かつての同僚で55本塁打をマークしているヤクルトの村上宗隆内野手に「60本を超えてほしい」とエールを送った。 バレンティンさんは、1964年に王貞治(巨人)が樹立してから、半世紀近く破られなかった55本の壁に挑んだ。「本塁打を打つだけでも大変なのに、55号と新記録の56号はさらに難しかった。配球も厳しくなっていたし、いざ記録を破るとなると、ファンも記者もたくさん来て、すごいプレッシャーだった。簡単なわけがない」。今の村上の心情を誰よりも理解している。 村上は三冠王も狙える位置にいる。13年のバレンティンさんは60本塁打を放ったほか、131打点、打率3割3分と文句のない成績を残したが、2冠王のブランコ(DeNA)に打点は5、打率では3厘及ばず、三冠王にはなれなかった。 「本塁打王や打点王を取るのはとても大変なこと。首位打者はもっと難しい。全部取るのは驚異的なことで、野球人生で1度チャンスが巡ってきたら、たぶん2度目はこない。だから、この状況を楽しまないといけない。楽しんで、タイトルを取って、本塁打の新記録も作ってほしい」 バレンティンさんは、まだ19歳だった村上の才能を早くから見抜き、気に掛けてきた。「3年前に初めて1軍で見た時に、僕の記録を破るような選手になると思った。誰かにそのことを言いもした」。愛情あふれる言葉が現実になろうとしている。 (時事) 【時事通信社】 〔写真説明〕オンラインでインタビューに応じる元ヤクルトのバレンティンさん=19日午後 〔写真説明〕広島戦の6回、本塁打を放った村上を迎えるヤクルトのバレンティン(中央)=2019年9月4日、神宮球場