大技を見届けた観客がどよめき、大きな拍手が注がれた。宇良が業師の本領を発揮。20年ぶりに「伝え反り」を披露した。 左四つに組み止めたい宝富士を相手に動き回った。おっつけたり、いなしたりして機をうかがう。体が離れた一瞬に勝機あり。潜り込んで相手を背後に置く。左脇の下をくぐり抜けながら一気に反り倒した。 代名詞でもある居反りなど、大学時代から珍手を見せてきた。取組後、この日の狙いを聞かれると、「分からないです」。けむに巻いていたが前回、幕内で伝え反りを決めたのが優勝25回の横綱朝青龍だったと知ると、たちまち笑顔に。憧れの存在だったと言い、「小さい頃から元気をもらっていた。うれしい」。 20歳の時に65キロだったという体重が、今では151キロ。正攻法へのモデルチェンジも実を結びつつある。「急に太ったわけではないから変わらない」。多彩な技に加え、下半身の強靱(きょうじん)さも証明した。 「元気な相撲を取れるように頑張る」。これで3連勝。土俵を活気づけ、館内を盛り上げるためにも欠かせない力士だ。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕宇良(左)は宝富士を伝え反りで下す=14日、東京・両国国技館